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24/03/2007

coercion in a "narrow" sense

 米国下院のResolution121の内容は、ネットで読むことができます(英語ですが)。

 これを読むと、ここで問題視されている「強制」は「coercion of young women into sexual slavery」です。若い女性が慰安婦として働かされるに至る過程のどこかに強制があれば足りますし、その強制を旧日本軍が自ら手を下さなくとも、軍が委託した業者が継続的に強制を行っていた以上、旧日本軍による強制と同視されるのは仕方がないことです(カラオケボックスにおける客による歌唱がカラオケボックス経営者の歌唱と同視されるというよりはわかりやすいです。)。したがって、米国議会が上記決議を行うことに反対する際に、「家に乗り込んでいって強引に連れていった」等の例を「狭義の強制連行」と定義して「狭義の強制連行があったとの証拠はない」と言ってみても、反論としては的はずれです。

 普通は一国の首相が的はずれな反論をするとは考えませんから(幸か不幸か、安倍首相は国際的には「鷹派」であって「右翼勢力に取り囲まれている」との評価は受けていますが、ブッシュJrと異なり「頭が悪い」人物であるとは広く認識されていません。)、例えばBBCなんかにも、「Abe questions sex slave 'coercion'」との大見出しの元で、

Japan's Prime Minister Shinzo Abe has said there is no evidence that women were forced to become sex slaves by the Japanese army during World War II.
と報じられてしまうのです。

 さらにいうと、英語メディアを見ていると、安倍首相やその周辺は「coercion」自体を否定しようとしていると報じられていると見られているわけです。例えば、ロイター通信のこの記事においても、河野談話は

admitted the Japanese military's role in setting up the brothels, and that many women were taken to and kept in them against their will
と位置づけられているのに対し、「A group of 120 ruling LDP lawmakers who argue that the apology went too far in acknowledging coercion by the Japanese military」の中山泰秀議員の発言として、
A group of 120 ruling LDP lawmakers who argue that the apology went too far in acknowledging coercion by the Japanese military
との引用がなされています。また、
Abe, who wants to revise Japan's pacifist constitution and restore pride in the nation's history, has sought to distinguish between a "broad" notion of coercion -- which he has said may have occurred -- while rejecting that coercion in a "narrow" sense of direct kidnappings by military officers took place.
とあることからわかるとおり、海外では、安倍首相は、「狭義の強制」(「狭義の強制連行」ではない)を軍当局による直接的な誘拐に限定して「狭義の強制」があったことを受け入れまいとしていると見られています。

 要するに争点についての認識ギャップがあるわけですが、Resolution121の本文はネット上で公開されており誰でもその内容を把握することが可能であること、狭義の「coercion」とは「kidnap」した上で特定の行為を強いることであるとは一般にいえないこと(日本政府自身、「kidnap」によらない「拉致被害者」という概念を認めている。)を考えると、この認識ギャップは、 安倍首相サイドに主たる責任があるというべきでしょう。

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Commentaires

> Resolution121の内容

オリジナルはここにあったんですね(コピーものを読んでおりました)。以下の議論に小倉さんが参加されていることを最近知りましたが、

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/1677143840b260e4b0de03304293c882

事実認定が上記でおおむね決着しているという前提で考えると(というのも、私の知識も“当時のもの”ではなく“後付け”ですので)、決議案121号の以下を読んだ人が、これを正しく認識できるかどうかは疑問です。

Whereas the `comfort women' system of forced military prostitution by the Government of Japan, considered unprecedented in its cruelty and magnitude, included gang rape, forced abortions, humiliation, and sexual violence resulting in mutilation, death, or eventual suicide in one of the largest cases of human trafficking in the 20th century;

※先に挙げた河野談話についても事実に即して訂正すべきというのが池田氏の提案ですが、「事実に即す」のであれば問題ないと思います。しかし、政治的広報戦略のために事実を曲げるのは正義ではないでしょう。

ところで、カラオケ法理というのは「歌唱を目的とする施設」を提供した運営者の責任が問われたのであって、「施設において“たまたま”歌唱された責任」を問うものではないですよね? P2P ソフトによって“たまたま”著作権侵害が行われたことで P2P ソフトの開発者の責任が問われない(しかし、著作権侵害を目的(前提)とした P2P ソフトの開発者の責任は問われる)ということですよね? 「軍が若い女性に性奴隷を強制することを目的としていた」と認めることは、事実に即した見方でしょうか。

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Voici les sites qui parlent de: coercion in a "narrow" sense:

» 朝鮮戦争時にも強制連行された人たちがw [本を積む日々]
http://www.ohmynews.com/articleview/article_view.asp?at_code=67635 http://www.excite.co.jp/world/korean/web/?wb_url=http%3A%2F%2Fwww.ohmynews.com%2Farticleview%2Farticle_view.asp%3Fat_code%3D67635wb_submit=%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E3%83%9A%E3%83% [Lire la suite]

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