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29/05/2007

ファンサブ

 町村泰貴北海道大学教授は、ファンサブに関して、

 さて、日本であれば、これは非合法だし、そのことは認識可能であろうから、直ちに削除しなければ刑事罰を科されても文句は言えない。いや、実は削除しても、それで罪が消えるわけではないのだが。

 プロバイダもこの種のファイルが載っていることを指摘されただけで、直ちに削除しなければ刑事罰を科されても文句が言えないと、そういう社会になろうとしている。しかも正犯扱いされるということなら、他人のUPしたファンサブについて、認識可能だという認定を警察がすれば、捜査対象にされてしまうおそれがあるのだ。

おっしゃっています

 しかし、プロバイダ責任制限法が制定された当初から、特定の違法コンテンツが自社の提供するサーバを通じて公衆に提供されていることを知り、かつこれをサーバから削除する等により送信防止措置を講ずることが可能である場合であっても、送信防止措置を講ずることなくそのサーバを介した違法コンテンツを流通を継続させる権限を特定電気通信役務提供者に付与しようという見解は示されたことがありません。また、米国のノーティス・アンド・テイクダウン手続では、違法コンテンツがアップロードされているとの指摘を受けたらプロバイダ等はまず送信防止措置を一旦講じなければなりません(その後、違法でないことが判明したら、送信を再開することができます。)。だから、何を今更という感じがします。

 ファンサブについて「必要なものかといわれれば、必要だ、なくすべきでない、と考えている」としても、ファンサブをなくさないための手法としては、ファンサブの製作及び配信を著作権の制限に盛り込む法改正を働きかけるか、又は、許諾システムの確立を図るというのが筋であって、特定電気通信役務提供者はそのようなコンテンツの流通が必要であると思ったら違法なコンテンツであると知ってもその流通を防止しないことができる、国内の実体法を超える権限を与えるべきだと言われてしまうと筋が違うように思います(町村教授はそこまではっきり言っているわけではないのですが、非合法なファンサブがアップロードされていることを指摘されながらこれを削除しないプロバイダが刑事罰を科されることをネガティブに捉えていることは読み取り可能です。)。

 情報発信者の匿名性が高度に保障されているネット空間において、プロバイダ等に違法コンテンツの削除義務を認めない場合には、ネット空間は、違法コンテンツが削除されずに流通し続ける無法地帯に成り下がってしまいます(「ファンサブ」は「必要だ、なくすべきでない、と考え」てこれを削除しないプロバイダ等を免責とするのであれば、児童ポルノについて同様の考え方から削除しないプロバイダ等も免責とすることになるのでしょうし、レイプ動画についても同様の考え方から削除しないプロバイダ等をも免責とすることになるのでしょう。何を削除し何を削除しないかを決定する権限をプロバイダ等に付与し、司法がこれに介入することを禁止してしまえばそういうことになります。)。

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