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08/05/2007

コミュニティの場自体を消滅させるリスク

 「Diggの反乱」の最大の問題点は、コミュニティの場を提供している企業を訴訟に巻き込み、多額の賠償義務や履行困難な差止命令等が下される危険が合理的に予測できるにもかかわらず、そのコミュニティの場で掲載しなくともよいことをそのコミュニティの場で掲載し続けることを求め続けたという点です。

 米国では、著作権侵害訴訟での賠償額は、法廷賠償金制度や懲罰的損害賠償制度があることもあって、巨額なものとなる虞がありますし、差止命令等を無視していると法廷侮辱罪で収監される虞だってあります。また、米国で知的財産権訴訟を提起されれば、これに応対するのに必要な弁護士費用がまた巨額です。弁護士1人あたりのタイムチャージも高いし、1つの事件処理に弁護士が費やす時間の合計も膨大なものとなります(このため、ベンチャー企業が訴訟を提起されると、判決が出る前に、弁護士費用の負担に耐えられなくて倒産してしまうということも何度もありました。。)。

 したがって、権利者から削除を求められている暗号コードを掲載し続けるようにDiggの運営人に求めるということは、Diggというコミュニティ自体が消滅するリスクを負わせるということになります。しかも、DeCSSについて判例がある以上、そのリスクというのはそんなに低いものではありません。

 それにもかかわらず、そのようなリスクをとることをDiggの運営陣に求め続けた一部のユーザーや、そのようなリスクをとるとの決断を賞賛するユーザーまたは外野の方々は、そのことによりDiggというコミュニティの場が消滅するかもしれないということについてどのように考えているのか、私にはよく理解できません。

 Diggがなくなっても、同じようなコミュニティはいくらでもある?──それなら、暗号キーをDiggに掲載することにこだわる必要はないのではないでしょうか。

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