« Diggにおける反乱 | Accueil | コミュニティの場自体を消滅させるリスク »

06/05/2007

事態の沈静化ではなく問題の先送りだ

 「Diggの反乱」の続編ですが、大西宏さんはこの件について「Digg創業者の勇気ある声明が事態を沈静化した」というエントリーを発表されています。

Web2.0は、主催者ではなく、ユーザーが主役の世界であり、それだけ主催者側には時と場合によっては大きなリスクが発生してきます。そのリスクを取れないとするならWeb2,0の世界には近づかないほうがいいのかもしれません。
Diggは、ユーザーが主役であることを表明して、危機を脱しました。これこそマーケティング・マインドじゃないかという気がしています。

 この問題で、暗号キーを掲載すべきというユーザーに一方的に肩入れすれば、著作権者側からの訴訟に晒されることになりますから、この段階で「危機を脱し」たというのは時期尚早でしょう。法務マインドから見ると、声の大きな集団の迎合することで、当面問題を先送りにしたにすぎないということになります。

 さらにいえば、(結果に責任を負わないユーザー団を主役にすると表明することで)今後、暗号キー以外の違法コンテンツ(誹謗中傷、ヘイトメッセージ(注1)、ポルノ、殺人予告・謀議(注2))等についても削除をしないように声の大きなユーザー集団が求めたときに同じようにそれらの要素を含むコンテンツを削除せずに放置するという方針を採ることが、Diggには期待されてしまったと言えるでしょう。既存の法秩序を破壊したいけれども、その過程で負わされかねない責任は第三者に押し付けたいという人たちは、世の中に掃いて捨てるほどいるのです。

 日本では、匿名の卑怯者さんたちがネット上でやりたい放題に他人を傷つけるのをネット事業者が温かく見守ってあげれば、被害者が泣き寝入りをすることで一件落着万々歳というのが標準になっているかと思うのですが、米国の被害者たちはお金を持っている人たちに何らかの手がかりが見つかれば巨額の損害賠償請求訴訟を提起するということを全然厭わないので、ネット事業者が加害者たちの味方をすることを表明し加害者たちから信頼を勝ち取ったからといって全然一件落着などしないのです(といいますか、この決断がおそらくどういう結末をもたらすかということを、Kevinは顧問弁護士から聞いているでしょうし、それをわかっていて暗号キーの削除をさせまいとするユーザーたちに対する絶望感から「You’d rather see Digg go down fighting than bow down to a bigger company. 」とか「If we lose, then what the hell, at least we died trying.」という言葉が出ているような気がします。

注1)
特定の人種、民族等についての憎悪等を煽るような言動を禁止する法律を制定する国や社会は少なくありません。

注2)
米国の場合、中絶反対派の方々が、中絶を行っている医師に対して殺害予告を行いまたは実際に殺害行為に及ぶことがしばしばあります。

« Diggにおける反乱 | Accueil | コミュニティの場自体を消滅させるリスク »

Commentaires

L'utilisation des commentaires est désactivée pour cette note.

TrackBack


Voici les sites qui parlent de: 事態の沈静化ではなく問題の先送りだ:

» Digg炎上とオーウェルの相似形 [ひろ式めもちょう]
「マーケティングマインド」ってのはけっきょく処世術かなんかなのか : ひろ式めもちょう http://memo.hirosiki.jp/article/40652242.html でメモったDigg炎上の件について。 「動物農場」でおなじみジョージ・オーウェルの「象を撃つ」について書いている文章を今日たまた..... [Lire la suite]

« Diggにおける反乱 | Accueil | コミュニティの場自体を消滅させるリスク »

octobre 2017
dim. lun. mar. mer. jeu. ven. sam.
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31