「罵倒されることは幸福なことだからはてなは罵倒対策しなくてよいよね」ってことでしょうか?
梅田望夫さんは、そのエントリーの中で次のように述べています。
たとえば小林秀雄や司馬遼太郎といった故人の作品を読み返すとき、彼らはネット上に溢れる無数の読者の「作品に対する感想や批判(ときには罵倒)」を読む機会を得なかったんだなあと思い、現代に生きる幸福を痛感する。
おそらく、梅田さんの目には、亀田興毅の世界タイトルマッチを見て感動したとブログで書いたことにより見ず知らずの人の心を(憎悪の方向で)動かし、アスリート失格云々と自分を執拗に罵るにまだ至らしめたことを知った上村愛子さんはとても幸福に見えるのでしょう。「批判からもたくさんのことを学ぶことができる」?あの件で上村愛子さんに「批判」から何を学べというのでしょう?採点競技における採点がしばしば端からは不可解に映ることなんて、同じく半分は採点競技であるモーグルの日本代表である上村さんが知らないわけないじゃないですか。だからといって、八百長が行われたと断ずることは無意味だし、勝者の姿に感動を覚えることは間違っていないはずです。
ネット上に溢れる無数の読者による罵倒を読む機会があって罵倒される人はなんて幸福なんでしょうという梅田さん的な考え方に立てば、人々に他人を罵る場を与えて利益を得るはてな株式会社は、他人を罵る人々だけでなく、罵られる人をも幸福にする優良企業であると位置づけることができます。まあ、なんてポジティブな生き方なのでしょう。
しかし、梅田さん的ポジティブさというのは、所詮は現実を無視したポジショントークでしかないわけで、現実には、「ネット上に溢れる無数の読者の『作品に対する感想や批判(ときには罵倒)』」を読むことは幸福だとは捉えられていません。実際のところ、小林秀雄や司馬遼太郎クラスの現代作家や随筆家は、コメント欄付きのブログを設置してまで「ネット上に溢れる無数の読者の『作品に対する感想や批判(ときには罵倒)』」を読もうとはなかなかしていないのです(梅田さんと対談をした平野啓一郎さんですら、ブログはコメント欄なしですし、公式サイトではメールアドレスが明記されているものの、「※お送りいただいたメールは、メール管理人が受信・管理し、管理人の判断で平野 啓一郎に転送されますが、場合によっては転送されないメールもありますことを御了承ください。」との注記が記載されています。)。
私は梅田さんには、是非とも小林秀雄や司馬遼太郎クラスの現代作家や随筆家に対して、「『ネット上に溢れる無数の読者の「作品に対する感想や批判(ときには罵倒)」を読む』ことはとっても幸福なことなので是非ともはてなにコメント欄付きのブログを開設するように」と説得してもらいたいし、仮にネットに溢れる無数の読者からの悪意剥き出しの批判や罵倒が寄せられてもコメント欄を削除したりブログを閉じたりせず、前進で幸福を痛感してもらいたいと説得してもらいたいものです。
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