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28/08/2007

「医療崩壊だ!」系のコメントスクラムの皆さんの要求ポイントは、ずれている

 「保険診療なんて安価な診療報酬しか支払わない患者を死に至らしめたとしても、わざとでない限り、如何に そのミスが重大なものであろうとも、一切の責任を負わない」ということでなければ、医師など続けていられないという方々には、「残念ですが、そこまで仰られるのであれば、仕方がありません。どうぞ他の職業でご活躍ください」という他ないというのが正直なところでしょう。如何に医師が少なくなろうとも、「病気を治してくれとはいいませんし、わざとでさえなければ、やっつけ仕事で命を奪っていただいても本望ですので、どうぞ診療して下さいませ」などと患者やその家族が懇願するという事態は、私には想像できません。

 そういう意味でも、「医療崩壊だ!」系のコメントスクラムの皆さんは、要求するポイントがかなりずれているように思います。いくら「ストライキ」等の対抗策を講じてみたところで、根幹部分についての譲歩を勝ち取ることは非常に困難なのです。社会が譲歩可能なラインを見定めることなく、ただ「俺たちの言うことを聞かないと困るのはお前らだ」と言ってみたところで、まともに相手にされないという事態を招くだけのことです。

 さて、米国の一部の州では医療過誤訴訟改革を行うことにより登録医が増加したとされていますが、それらの医療過誤訴訟改革の中心は「精神的苦痛など非経済的損失に対する賠償金の上限」規制であり、医療過誤訴訟の原則禁止ではありません(ただし、その程度の規制ですら、憲法違反の疑いがあり、カリフォルニア州最高裁は4対3の僅差で合憲としましたが、アラバマ,カンザス等では違憲とされたようです。)。そしてそれは、懲罰的損害賠償制度がない我が国の司法制度のもとでは、そもそも必要がないものです。

 米国の様々な州議会がこのような医療過誤訴訟改革に踏み切ったのは、実際に医療過誤保険の保険料が高騰したことが直接の要因です。未だ医療過誤保険の保険料が低額に止まっている現在の日本において「医療崩壊」を食い止めるために医療過誤訴訟改革をせよといっても「時期尚早」との批判は避けがたいところでしょう。まして、保険診療における軽過失免責なんて、これを支える立法事実があるようには見えません。といいますか、今の日本の医療過誤保険の保険料水準であれば、米国の医師からは「地上の楽園」のように思われるかもしれません。

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