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24/09/2007

被害者遺族の人権を守るためになすべきこと

 我が国のマスメディアやネットでは、被害者が死に至った事件の弁護人に対し、被害者遺族の感情に配慮して手抜き弁護を行うように要求する声が日増しに高まっているようです。そこでは、「お前の家族が同じことをされたら同じような主張ができるのか」等の問いかけがなされることがあります。

 「裁判官が被告人又は被害者の親族であるとき、又はあつたとき」は「裁判官は、……職務の執行から除斥される」(刑事訴訟法第20条第2号)と定められていることからも明らかなとおり、法は、当該裁判に関与する法律家が「被害者遺族としての感情」を持ち込むことを良しとしていません。従って、弁護人が、「自分の家族が被害者だったら」ということに思いを馳せて、弁護活動においてさじ加減を加えるということはやってはいけないことであるというよりほかありません。そういう意味では、「お前の家族が同じことをされたら」云々という問いかけは愚問といってしまってよいでしょう。

 その上で、「自分が被害者遺族だったら」ということを敢えて不謹慎にも想定してみるならば、与えられた職務を誠実にこなす弁護人よりも、自らの身に起こった不幸を邪な動機で活用しようとする無責任な人々(視聴率稼ぎのために煽情的な放送を繰り返す放送局、被疑者・被告人やその家族、弁護人等をバッシングすることでストレスの発散をしているだけの大衆、「品位を失う非行」を懲戒事由から外させるために一般市民を煽って当該事件の担当弁護人らに対する大量の懲戒申立を起こさせようとする弁護士等)に対し、大きな嫌悪感を感ずるのではないかという気がします。

 なお、弁護人が弁護の内容を一般市民に対して詳細に説明すること自体が被害者遺族の感情を害する虞すらあります。ワイドショーから既に断罪されている被告人の弁護を引き受けた弁護人は事実上の説明責任を一般大衆に対して負う(これを怠った場合は、大量の懲戒請求を申し立てられ、これへの対処のために長時間にわたる無意味な無償労働を強いられる、電話・ファックス。ネット等の様々な手段で誹謗中傷される等の事実上の制裁を受ける)ということになれば、被害者遺族の感情を損なう虞を認識しつつも、弁護方針、弁護内容等を一般市民に対し詳細に説明せざるを得ないところに弁護人が追い詰められる危険があります。

 それは、「被害者の人権」を重んずる昨今の動きとはベクトルが逆なのではないかという疑問があります。集中豪雨的な取材・報道からの被害者及びその遺族の保護というのが「被害者の人権」擁護の一大テーマだったのはそう遠い昔の話ではないことを、私たちはもう一度思い起こすべきなのではないかという気がしてなりません。

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