アマチュアは神様か?
NOV1975さんからトラックバックを頂きました。相変わらずの論調ですけど。
小倉先生、「弁護士のことは弁護士しかわからないから黙ってろ」って言いたかったんでしょ。
とのことですが、どうやったらそのように読めるのか不思議です。専門家に対して「素人は引っ込んでいろと言うのか」という言葉が出てくるときと言うのは、その素人の言動が間違っていることを論理的に諭されたときに素人側から出てくる言葉なのです(言われた側の専門家は、かなり懇切丁寧に説明をしているのに。)。従って、「素人は引っ込んでいろと言うのか」といってくる人々に満足していただくためには、その間違っている素人の主張を受け入れなければならないわけです。例えば、弁護士会は会員である弁護士に対して被害者遺族(除く、医療事故被害者遺族)に不快感を与える弁護活動を行うことを禁止し、既に弁護活動に伴い被害者遺族に不快感を与えた弁護士に対して懲戒処分を行うこととした場合に、初めてこれらの「素人の意見が専門家に受け入れられた」ということになります。もはや、行き着くところは、検察も弁護人も裁判官も「世論」とやらに迎合してみんなで被告人を断罪する「人民裁判」です。基本的人権が尊重擁護されることに嫌悪感を有する一部のネット大衆が待ち望む社会──それが、現代日本よりも基本的人権の尊重擁護に劣る現代中国に似てくるのは予想の範囲内です──が到来しそうです。
何度も言っていますが、
従って、「why」に対してその専門家や同業者集団が懇切丁寧に説明をしても、それらを全て悪意にしか受け取りません。
la_causette: 潜在的な顧客ですらないと言うような人は一部であり、一部と言ってもそこそこの勢力を誇っている。
とのことですが、「素人は引っ込んでいろと言うのか」と文句をつけるのは大抵の場合その「一部の人」です。
こういうことを言うと、「専門家の方が間違っているとは考えないのか」という批判がくるかもしれませんが、例えば光市母子殺人事件の上告審及び差戻控訴審における弁護活動について言えば、その種の素人の意見を正しいものとして受け入れるということは、近代的な刑事裁判制度を放棄し、人民裁判制度を導入することにしか繋がらないし、では、近代的な刑事裁判制度を放棄し人民裁判制度を導入することがどれほど素晴らしいことなのかについてそれらの素人さんがきちんと論じているものを目にする機会があるかというと、ないわけです。
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別に弁護士じゃなくても(花屋でも)、どうしてそうしなきゃいけないの?なんていちいち聞かれたら絶対嫌だと思うんですけどね。
そんなことはさておいて、「ものすごい」「予想をはるかに超えてる」とかなり評判の橋下弁護士が出した答弁書に関して、専門家としてのご意見をお聞きしたいのですが。
http://hashimotol.exblog.jp/6499360/
Rédigé par: トニオ | 22/09/2007 22:08