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13/10/2007

自分が相手より「偉い」と思わなくても、質問はできるし、普通に行われている。

 第三者の行為により不利益を被っている「被害者」から相談を受けた場合、弁護士は、当該行為者側の事情次第によってはそれが不法行為ないし犯罪行為になる可能性があると思えば、内容証明郵便の通知書(表題については、担当弁護士によっていろいろなバリエーションがあります。)を送って当該行為者側の事情を問いただすこと、並びに、その行為により生じた不利益を解消するための措置を任意に講じない場合には法的手段を用いる可能性があることを告げることをしばしば行います。それは、当該被害者ないしその代理人が「偉い」という心情をもっているから行うのではありません。むしろ、むやみな争いを避け、紛争をなるべく早期に解決したいという心情に基づくことが多いです(そのような書面を送る段階で、当該行為者に対して法的措置を講ずることを既に決定しており、どのような措置を講ずるのかを決定する資料として、通知書を送ることもありますが。)。

 さらに一般論をいうならば、質問をする、あるいは迷惑な行為をやめるように要求する、という行為は、「自分が相手より偉い」と考えているからこそ行う行為ではありません。

 橋下徹弁護士は、今枝仁弁護士が懲戒請求者に「求釈明書」を送付したことをもって、彼の弁護士様は偉いんだ病は、不治の病のようです述べています。しかし、この「求釈明書」をどう読むと、今枝弁護士が「弁護士様は偉いんだ」と思っているということが読み取れるのか、私には理解できません(「テレビ番組に出演して自由に発言することが許されている俺様に楯を突こうとは、何様だ」という意味で、弁護士様は偉いんだ病という言葉を用いているのでしょうか? しかし、卑屈にならないということや圧力に屈しないということと、自分ないし自分の職業等の属性を「偉い」と思いこんでいるということとは同一ではないというのが、おそらく東京では常識です。)。

 また、橋下弁護士は、上記「求釈明書」を常識はずれの文書と表現していますが、懲戒請求を行うにあたってどのような調査活動を行ったかということが不法行為の成否を決める重要なファクターとなる最高裁判例がある以上、この種の内容の質問書を懲戒請求者に送付することのどこが「常識はずれ」なのか、私にはよく分かりません。「この文体を見れば、どれだけ常識はずれなのかは、世間にとって一目瞭然です」としているところからすると、「求釈明書」の記載内容ではなく「文体」が「常識はずれ」だとお考えなのかもしれませんが、ある程度公的な側面を意識した文書の文体なんてまあこんなものだと思います(少なくとも東京では、その種の文書に、罵倒語が満載の砕けた表現を使うとの常識はありません。)。

 橋下弁護士は、さらに、この文書は懲戒請求制度に対する重大な挑戦で、こんな弁護士の横暴を認めていては、一般市民からの懲戒請求を過度に委縮させ、弁護士の非違行為を止める手だてがなくなります。と述べております。しかし、情報バラエティ番組のコメンテーターの意に沿わない弁護活動を行う弁護士に対して、当該番組の中で大量に懲戒請求を行うことを呼びかけることによって、その弁護士の所属する単位弁護士会の綱紀委員会に過大な業務を強い、(法的には懲戒事由にあたらなくとも)懲戒処分とせざる状態に追い込むということが「懲戒請求制度に対する重大な挑戦」だというのならば分かるのですが、前記最高裁判例がある以上、懲戒事由の有無につき十分な調査活動を行わない一般市民からの懲戒請求というのは不法行為となる蓋然性が高いわけですから、そのような活動が自粛されるべきことは当然といえます。なお、十分な調査活動を行い得ない一般市民による懲戒請求が自粛されたとしても、一線で活躍されている論客からの最高の懲戒請求がなされればいいだけの話なので、弁護士の非違行為を止める手だて はなくならないのではないかと思います。

 また、橋下弁護士は、この今枝弁護士からの求釈明書に対する対応ですが、無視して下さいと仰っているようですが、無視した場合には、懲戒請求書に添付した資料以外には十分な調査・検討を行うことなく当該懲戒請求を行ったものとして取り扱われることとなります。それは、各懲戒請求との関係では、早期に懲戒事由なしと判断される蓋然性を高めますし、今枝弁護士からの損害賠償請求訴訟との関係では請求が認容される蓋然性を高めます(やるかどうか分かりませんが、無視をすると訴訟の対象とされる蓋然性は高まるでしょう。)。そういう意味では、「無視をする」のは、「求釈明」を受けた懲戒請求者にとっては、あまり得策ではないような気もします。


 なお、橋下弁護士は、この「求釈明書」について文書自体も「脅迫」にあたり得ます。と述べておられますが、この程度の書面が「脅迫」にあたり得ると認識されているとすると、橋下弁護士は、どのようにして訴訟外での示談交渉を行っているのでしょうか。

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