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31/10/2007

日本国憲法には「B規約プラス」はない。

 産経新聞の古森義久論説委員さんが、次のように述べています。

アメリカでも日本でも人権尊重が社会の前提ではありますが、この人権尊重の大原則が犯罪者の側にも適用され、被害者あるいはその家族の側の人権が軽視されがちとなります。加害者の人権が尊重されすぎるという傾向だといえましょうか。

 まあ、昔からありがちな言説ではありますが、正直もう、うんざりです。一体全体、現在被疑者・被告人に認められている諸権利のうち何を制限したら、被害者或いはその家族の人権はより全うされるというのですか。そもそも被疑者・被告人に保障されている人権というのがどのようなものか知った上で、被疑者・被告人にそのような人権が保障されているが故に被害者或いはその家族の人権が軽視されているというお話をされているのでしょうか。

 日本国憲法にて保障されている人権のうち、被疑者・被告人に特に関係のあるものは、以下のものでしょう。

第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

第32条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。 

第33条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

第34条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第35条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

第36条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

第37条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

第38条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。

3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

第39条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

第40条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

 たったこれだけです。どこをどう見たら、「加害者の人権が尊重されすぎる」という気持ちになれるのでしょう。しかも、これらの被疑者・被告人に保障された諸人権は、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」において、日本を含む加盟国が保障することを義務づけた諸人権の範囲を超えていません。古森論説委員は、ブログのプロフィール欄にて「国際的にみれば、中道、普通、穏健な産経新聞の報道姿勢に沿って」云々と述べていますが、少なくとも「自由、民主主義、基本的人権、法の支配」という普遍的価値を共有する国々では、被疑者・被告人に保障されることが当然と理解されているものばかりです。

 これらの被疑者・被告人に認められた諸人権のうちどれを制限したら、どのような因果の流れで、被害者又はその家族の人権がより全うされるというのか、古森論説委員にわかりやすく解説していただきたいものです。

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