「被害者」は警察が作るのではない。
z0racさんがこんなことを述べています。
一般的に「被害者」という考え方はあるが、法的に考えると少々違った話になる。法の下で「被害者」を確定しうるのは裁判によってである。そして、民事訴訟に於いては「被害者」すら存在しない。存在するのは「当事者」のみなのだ。
故に、裁判所以外が「被害者」認定を行うことの問題が発生する。引用部分の「法益を侵害する」や「被害者」は法的判断を前提してしまっているが、その時点ではまだ「法益の侵害」も「被害者」も法的には認められておらず、法益を侵害されたと主張する「当事者」が開示請求を行うということなのだ。
なるほど、私の考えを理解できないはずです。受け入れられないはずです。「加害者」の有罪が確定するまでは、「被害者」は存在しないから、一私企業の判断で書き込みを削除したり、発信者情報を開示したりしてはならないというご意見なのでしょうから。さらにいえば、刑事罰が法定されていないプライバシー権侵害に関して言えば、一切削除をすべきではないというご意見なのでしょう。
現在の一般的な理解では、訴訟法的に確定するか否かにかかわらず、事実というのは客観的に存在しており、その事実を前提とする実体法上の権利義務の得喪変動は生じていると考えます。そして、第三者からその権利を侵害された者を「被害者」と名付けるのであれば(実際、そのような者を通常「被害者」と呼びますが。)、民事訴訟により不法行為に基づく損害賠償請求を認容した判決が確定する前から存在しますし、加害者を有罪とする判決が確定する前から存在します。
また、z0racさんは次のようにも述べています。
一私企業が他人の利害に関する法的判断を行い得るのか、また行って良いものか?
他人間の法律関係が自己と他人との間の法律関係に影響を与える場合、私人(私企業を含む。)といえども、他人に関する法的判断を、裁判所による判断を待つまでもなく、行わざるを得ません。例えば、損害保険会社は、賠償責任保険の被保険者が第三者に対して損害賠償義務を有しているか否かを判断して、有しているならば保険金を被保険者に支払わなければいけません。また、電車の中で乗客の1人が他の乗客に襲いかかっているのを発見した車掌は、それが急迫不正の侵害であるのかを判断した上で、その乗客を取り押さえる等の措置を講じて全然構わないのであって、むしろ積極的にそうすべきなのです。「警察の判断」があるまでは放置せよと言われても、それは明らかに不正義であると言えます。
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