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24/02/2008

法務省と文科省との利害の対立

 法曹人口問題についていえば,法務省と文科省とでは,実は利害が大きく対立しているのではないかと思います。鳩山法務大臣は,豪放磊落に見えて,法務官僚の意向を酌んでいるのではないかという気がしているのです。

 法務省が望んでいるのは何かといえば,国家Ⅰ種組ではなく,司法試験組が上位の役職に就くことが予定されている役所であるという独自の性質を有しているが故に,国家Ⅰ種組と対峙できる経歴の持主を検察官として採用したい,もっと有り体に言えば,東大又は京大の法学部出身で,できる限り若い人材を採用したいということがあるのだろうと思います。彼らはそのために,司法試験受験歴が3回以内の者について特別な合格枠を設ける「丙案」すら実行したくらいなのです。

 したがって,法務省としては,法曹養成制度に改革によって新規に法曹資格を取得することの魅力が,特に東大または京大の法学部の在学生にとって薄まっていくことはなるべく回避したいのだろうと予測することができます。そのような観点からすると,「司法修習生の求人倍率が約 0.3」とか「新人弁護士の初年度年収の平均が400万円程度」等となる事態は,最悪です。法科大学院がそのようなハイリスク・ローリターンな場になっていったときに,法務省が望むような人材は法科大学院に進学しなくなる可能性が高まるからです。

 これに対し,文科省としては,法科大学院にお金が落ちればいいわけですから,学部卒業時にそれなりの企業に就職をすることを果たせなかった人材が法科大学院に集まり,新規法曹資格者がそのような人材の吹きだまり状態になったって,彼らが法科大学院に授業料を支払ってくれる限り,別に構わないわけです。彼らを司法研修所に送り込んでしまえば,あとは弁護士会と裁判所と法務省の問題であって,新規法曹の能力不足は文科省の問題ではないからです。「法学新人類」系の研究者は「試験が容易になれば優秀な人材が集まる」云々というわけですが,試験が易しくなりその分期待される処遇が悪化すればむしろ優秀な人材はそこから遠ざかっていく,という方が私たちの経験則に合致しているわけです(嘘だと思う企業経営者は,難関大学から新人を採用せずに,Fランク大学から新人を採用してください。)。彼らだって,本気で「試験が容易になれば処遇が悪化しても優秀な人材が集まる」と思っていたわけではないと思うのです(実際,その後,合格者が3000人になれば学力が落ちるのは当然だ,と開き直ることになります。)が,大学関係者としては,彼らが輩出する「新規法曹の質」なんてそもそもどうでもよかったのです。

 まあ,「社会が考えているほど、日本の法律家の質が
高くないのが問題
」と指摘する大学教員もいるわけですけど,でも,日本法制史が専門で,紀要雑誌に掲載された論文が「『明治初期刑事法の基礎的研究』霞信彦」である浅古先生に言われてもなあという気がしないでもありません。「海外で法的トラブルが生じた場合、残念ながら対応できる
日本の法律家はあまり多くはない。」ったって,それはその法的トラブルにその法律が適用される国で資格を取っていない弁護士が対応できないのは当然だし,その法的トラブルを解決するのに用いられる言語を母語としない弁護士が一定のハンディを負うのもどうしようもないことです。そのことは「日本の法律家の質が高くない」ということの例にはなっていないし,法科大学院で「豊かな人間性と高度の専門的学識を備えた人材を、じっくり時間をかけて育成」してみたところで,どうしようもありません。

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» lawyer:文科省は法科大学院にお金が落ちればよいと考えてる? [Matimulog]
小倉先生の「法務省と文科省との利害の対立」によれば、「法務省が望んでいるのは何か [Lire la suite]

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