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26/02/2008

小野川梓さんはどこを見ているのか

 小野川梓という人が,「報道されない弁護士業界の地殻変動~小野川梓コラム(52)」というコラムを書いています。

 しかし,弁護士に批判的なコラムを書く方々というのは,どうしてこうも基本的な事実を調べずに思いこみでコラムを書けるのか不思議です。

もともとサラ金の多重債務を抱え債務の整理や自己破産の申請のために弁護士を必要とする人だけでも、100万人から200万人を数えるというのに、ほとんどの弁護士は割が悪い仕事だからと見向きもしなかった。

とのことですが,「過払い金バブル」以前から,弁護士会では会をあげて多重債務問題には取り組んできたし,クレサラ問題に特化した法律相談センターだって作ってきたわけで,特に法律扶助案件は(日本の場合法律扶助予算が諸外国とは際だって低いために)採算度外視を覚悟して取り組んできました。

 また,

企業が少ない地方での弁護士開業も敬遠され、裁判所の支部があるのに弁護士がいないか、1人しかいない「無弁地帯」「ゼロ・ワン地域」が一向に解消されず、過疎地の住民は法的支援から見放されてきた

ともありますが,弁護士会で「過疎地型公設事務所」を開設するなどの努力により「ゼロ・ワン地域」は大分解消されています。

 また,

市民の側にも、貸金の取り立てや借地借家をめぐるトラブルがあると、裁判は長期化するのが常だからと、解決のために弁護士よりも暴力団らを頼る傾向が否めなかった。

とのことですが,貸し金の取り立てに関していえば,「裁判が長期化する」という自体は滅多に生ずるものではなく,むしろ,「○○円を支払え」との判決が確定したときに債務者の財産を調査する法的な仕組みが不十分であるためにせっかく勝訴しても貸金を回収できない可能性が高いことこそが問題であって,これは弁護士の数とも弁護士報酬の高低とも全く関係のない問題です。借地借家についていえば,立ち退きを迫られた借地人・借家人のために弁護士が頑張りすぎたために,定期借地・定期借家等の制度が導入されてしまったくらいです。

 さらにいえば,

 しかし、最近は拝金主義の世相の影響か、法曹の理念よりも高収入を求める傾向が一段と強まった。司法試験の難関突破のため何年も受験勉強を続けたから、と浪人中の「得べかりし利益」を回収しようと金儲けに走る弁護士まで現れ出した。

とのことですが,具体的にどのような現象をさしてそのように仰っているのか見当がつきません。「大手渉外事務所に入って高い初任給を手にして」云々という話であれば,何年も受験勉強を続けていた人にはほぼ無縁な話ですし,「難関突破のため何年も受験勉強を続けた」弁護士の報酬相場が高くなったという話も聞いたことがありません。

 「司法の質」云々を問題とする以前に「ジャーナリストの質」を問題にした方が良さそうな気がします。

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