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09/03/2008

その「工夫」の中身が知りたい

 今度は,河北新報が司法改革関連の社説を書いているようです。

  法科大学院の機能強化、司法修習の充実など工夫次第で、質の低下は避けられよう。

とのことなのですが,法科大学院の機能をどのように強化し,あるいは司法修習をどのように充実したら質の低下を避けられるのか,その「工夫」についての具体論を提示していただきたかったところです。

 司法修習に関していえば,私の時代は2年あったわけですが,現在は1年です。ただでさえ司法試験で絞り込まれていない(その分,実体法についての知識乃至理解が十分でない)上に,修習期間が半分にされています。

 しかも,今の司法修習生の多くは,ただでさえ半減された修習期間の多くを,就職活動に費やさなければいけません。就職氷河期のピークですら新卒有効求人率は0.9を超えていたというのに,新61期の新卒有効求人率はいまのところ0.3程度であり,しかも,新司法試験の合格者数を増やせば増やすほど,この新卒有効求人率は低下します。

 新卒有効求人率が2を超えようという学部ですら3年次の終わりから4年次の中頃にかけては就職活動が忙しくて学生はなかなか授業に出てこれないわけですが,司法修習生についてのこの新卒有効求人倍率ではその傾向にさらに拍車がかかることが予想されます。さらにいえば,学部の場合,就職活動で犠牲になるのは4年間のうちの1年弱ですが,司法修習生の場合,その分母が4年ではなくて1年しかないわけです。

 ただでさえ,学部卒業後民間企業に入った同級生よりも相当低い所得水準にとどまることを期待されどうもそうなりそうな新規法曹になりたいという人の学力水準は低下の一途をたどることが予想できる(法曹人口の大幅増員を主張していた学者集団は当初「試験が容易になれば優秀な人間が集まる」といっておりましたが,これは資本主義社会での経験則には明らかに反するのであり,むしろ「処遇が悪くなれば優秀な人間は逃げていく」というのが経験則に合致するのです。)わけですが,さらに,法曹養成にあたっては上記のような環境にあるわけですから,「工夫次第で、質の低下は避けられよう」といわれても,現場は途方に暮れてしまいます。

 法曹人口の大幅増員を主張していた学者集団は大幅増員論を押し通すために,弁護士に法律の知識はさして必要ではないとまでいっていたわけですから,河北新報も,大幅増員の推進を主張するのであれば同時に,市民に対して,弁護士の数を大幅に増やすのだから,新規法曹に法律の知識等をあまり期待してはいけないということを同時に訴えるべきなのではないかと思います。

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