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01/03/2008

人権擁護法案に対する反対論って未だにこの程度なのか。

 産経新聞の阿比留記者のブログによれば,自民党の人権委員会では次のようなやりとりがなされたのだそうです。

そういう中で訴訟社会を助長させるような法律をどんどんつくることが立法府として、本当に我が国にとっていいのかどうかを、保守政党たる自由民主党が、そういうスタンスで考える必要がある。by 下村博文衆議院議員

 でも,司法試験合格者を大幅に増加する法制度を作っておきながら,「訴訟社会を助長させるような法律をどんどんつくることが立法府として、本当に我が国にとっていいのかどうか」を考えても仕方がないし,「訴訟社会を助長させるのは良くないから,マイノリティの人権を擁護する法律を作るべきではない」というのは,考え方として間違っているように思います。

 また,

 具体的な人権救済制度の現状と(の資料が)あるが、見てますと、家庭内、施設内、ストーカーとか、要するに個人個人の人の付き合い方の問題だ。その根源となるのは、まさに家庭をはじめとする道徳意識、規範意識の低下が一番大きな問題であって、法律がないからこういう問題が出てきたんじゃない。また法律で救済できるものではない。そもそも道徳によって、道徳教育によって救済しなければならない。今回、教育指導要領も改訂になってきて、道徳教育を充実させるという話が出ている。まさに、われわれはそちらの方に主軸を置いてやっていかなければならない。by 西田昌司参議院議員

なんて話も出ているようですが,新教育指導要領の元で「充実した道徳教育」を受けることなく大人になった人々による家庭内ないし施設内における暴力やストーカー行為等は,諦めて放置するのでしょうか。それ以前に,法律による事後的対抗措置が不要となるほど,新・教育指導要領により「充実」することとなった道徳教育には「家庭内ないし施設内における暴力やストーカー行為」の発生を未然に防ぐ機能があるのでしょうか。「家庭内ないし施設内における暴力やストーカー行為」の発生比率を引き下げると言うだけならば,それらが発生した場合の事後的対抗措置を定める法律は依然として必要なのではないかと思うのですが。

 また,

3条委員会というものは極めて特別なときに限られている。必ず公取でも何でもものすごく限定的。公権力の行使について極めて慎重なんです。ところがこの法案は「おそれ」まで全部ひっくるめて、そして調査権がある。調査権はひどくないというが、調査に応じなかったら罰金30万円。それを被ったら、大変なことで、ちゃんとした手続きが終わらないうちにレッテルを貼られちゃうわけですから、大変なことになる。例えば逆差別で反論できる余地はあるというが、先に訴えた方が勝ちだ。こぞってそこに行って30万円とったら、勝負あっただ。だから、令状の執行がいると、今の法律は人権を守っている。それをごちゃごちゃにやるととんでもないことになる。そうでなければ表現の自由は守れない。by 衛藤晟一参議院議員

なんてご意見もあるようなのですが,相手が先に訴えようが,人権擁護委員が行う調査活動に協力すれば30万円の過料に処せられることはないので,そんなに気にする話でもないように思います(法務省案では,「罰金」ではなく「過料」という扱いをしており,「報告、情報若しくは資料を提出せず、又は虚偽の報告、情報若しくは資料を提出した者」に対して罰金刑を法定している独占禁止法よりも規制が緩やかです。ちなみに,労働者災害補償保険審査官や雇用保険審査官による出頭要求等を拒んだ場合も,罰金刑を法定しています。)。ちなみに,不当労働行為があったとして労働者から労働委員会に申し立てがなされた場合に,労働委員会から出頭命令や証拠物提出命令等が下されたにも関わらず,これを拒んだ者に対しては,人権擁護法案と同様の「三十万円以下の過料」が法定されていますし,労働委員会がこの出頭命令等を下すにあたって裁判所の令状は必要とされていないわけですが,衛藤晟一先生は労働組合法すら否定されるのでしょうか。

 また,

本当に、まじめな人ほどこういう法律ができたらやられるんですよ。セクハラでもって、一つの法律をつくるということはそれでもってセクハラがなくなるということじゃなく、それを利用する人間が出てくること。利用する人間の手にかかったら真面目な人間ほどやられるんですよ。それと同じです。この人権擁護法というのは。人権侵害とは何なのか。人権を侵害されたという人間の気持ちだ。握手をしてセクハラをされたということ。そんなことが世の中で蔓延するのは、まともな国ではあり得ない。この法律が通っていくことで、どんどん社会がおかしくなって、日本が完璧に解体される、一歩。一歩じゃない、二、三歩になっていると思う。これはやめてもらいたい。by 戸井田徹衆議院議員

というご意見もあるようです。握手がセクハラになるかどうかは,どういう文脈の中で,どのような態様で行われたのかによって変わってくるのであって(注1),それらの事情によってはセクハラと扱われる場合があるというのは,米国等ではよくある話ではないかと思います(ひょっとしたら,米国はまともな国ではないと言いたいのかもしれませんが)。それはともかくとして,不当提訴がありうるからと言って規制法を作らないというのもどうかと思います。それに,それが不当な提訴かどうかを審査する手続きを作りましょうというのが人権擁護法案なわけですから,不当な提訴があり得るということは人権擁護法案に反対する理由になっていないような気がします。まさか,「人権侵害とは……人権を侵害されたという人間の気持ちだ」から,人権を侵害されたという人間がそれを不快に思わなければ済むだけの話だから,セクハラ等の人権侵害を解決する仕組みは必要ない,むしろ,セクハラ等が自由に行えなくなると「どんどん社会がおかしくなって、日本が完璧に解体される」というご趣旨ではないことを願うばかりです。

(注1) なお,戸井田議員が紹介した例についていえば,男性の社長が女性従業員を二人きりの密室に呼び出し,通常当然に握手をするような文脈とも言い難い文脈の元で,握手をするように要求したわけですから,「まもとな国」でも十分「セクハラ」とされる虞があるケースだとは思います。

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Voici les sites qui parlent de 人権擁護法案に対する反対論って未だにこの程度なのか。:

» 人権擁護法案の問題点 [異論☆はにはに☆Observation]
> 人権侵害に苦しむ人びとは、救済の法律を待ち望んでいる。 (『人権擁護法 救済の法律は必要だ』 朝日新聞【社説】 2005年07月28日(木曜日)付) 人権侵害に苦しむ人びとに救済の法律は必要である。しかし、 『人権擁護法案... [Lire la suite]

Notifié le le 04/03/2008 à 12:56 AM

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