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18/04/2008

有害情報の流通規制の代替手段としてのネット教育の低年齢化の可能性と経済効率性

 前回のエントリーの追記部分に対応して,榎本さんが次のように追記を行っています。

追記: 僕の文脈に沿ったコメントが追記されてきたけど、今度は正しいような間違っているような…僕が言いたいのは、間違ったやり方はやめて「放置しよう」ではなく、間違ったやり方はやめて「問題のない解決策を重点的に行おう」ですから(ネット教育の低年齢化とか)

 しかし,これは間違っています。ある弊害への対策としてある新しい施策をとってもなおも当該弊害を完全には克服できていないということを示すことにより突きつけることができるのは,その施策が当該弊害に対する対策として間違っているということでは必ずしもなく,むしろ,当該施策のみでは不十分であるということである可能性が相当程度あるからです。例えば,飲酒せずに運転をしても死傷事故を起こす例があるということをいくら強調しても,道交法上の飲酒運転規制が「間違った」規制であることの証拠にはなりません。

 また,「有害情報」を青少年に送りつけることを規制することにより対処しようとしている弊害を「ネット教育の低年齢化」により対処しようというご意見については,むしろ,その方が社会的なコストもかかる上に効果が低いのではないかという疑問を禁じ得ません。現実社会では青少年への流布が規制されている情報をネットを通じて青少年に自由に流布できる環境,しかも,必ずしも青少年がそれを閲覧することを積極的に望んでいなくともそれが青少年の目に触れうる環境を放置しつつ,それによる青少年の精神的な発達の阻害を克服できるようなネット環境というのはいかなるものなのか,あるいは普通のCGMサービスを利用していると売買春へと誘うメッセージが頻繁に少女の元に届けられる環境を放置しつつ,そのようなメッセージを受け取った少女たちが皆その誘いをきっぱり断るようになるネット教育とはいかなるものなのか,私は想像しがたいものがあります(しかも,「低年齢化」ということですから,小学校低学年から中学生にかけての子供たちにも理解できるようにその教育を行わなければならないということになります。)。また,仮にそのような教育が可能として,それを全国の小中高校において,少なくともその教育の感銘力が薄らがない程度に頻繁に,それを行うためには,どれだけの人員が必要であり,その人件費はどれほどかかるのかということを考えると,私などは結構絶望的な気分になってしまいます(まさか「啓蒙ビデオ」を年に1時間見せればOKなんて考えている訳ではないですよね。)。

 もちろん,ネット事業者としては,フィルタリング等のコストはネット事業者が負担しなければならないのに対して,「ネット教育の低年齢化」にかかるコストは,公立学校について言えば,地方自治体の負担となるわけですから,後者の方が費用負担の低廉化に繋がるとは思いますが,社会全体が負担するコストという観点から言えば,むしろフィルタリングの義務づけの方が安く済むのではないかという気がします。

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