弁護士の儲けに繋がるという理由は、市民の権利を撤廃する理由になるのか。
木村剛氏は、「信販法も改悪の方向へ」というエントリーの中で、先般の貸金業法改正を難詰するに当たって、次のように述べています。
少なくとも福田政権は、貸金業法改悪によるグレーゾーン金利廃止の影響について、しっかりと調査すべきです。同時に、どれだけ弁護士が、この過払い返還請求で儲けているかについても明らかにすべきではないでしょうか。新人弁護士が億円プレーヤーという現状をどう考えるかについても、公開討論すべきだと思います。
貸金業法改正によるグレーゾーン金利撤廃について評価をするにあたって、それが消費者向けあるいは事業者向け金融市場にどのような影響をもたらしたのかについてしっかりとした調査を行うことはよいと思いますが、どれだけ弁護士が、この過払い返還請求で儲けているかについても明らかにす
る必要がなぜあるのか、私には理解できません。まして、新人弁護士が億円プレーヤーという現状
の当否が公開討論の対象となるという感覚が理解できません。
市民がある私法上の権利を行使することを手助けする弁護士がそのことによって対価を得ることは何ら社会的に問題視されるべきことではないし、特定の権利の行使を手助けすることを活動の中心とする弁護士がそのことにより高額の所得を得ることに成功したからといって、そのことは、市民のそのような私法上の権利を認めることの是非には何ら関係がないはずです。仮に、新人弁護士が、多くの市民の権利行使を手助けすることにより、1億円を超える所得を得ることに成功したのであれば、それはそれだけ多くの私法的な正義の実現に寄与したわけですから、賞賛することはあっても、これを問題視することは間違っています。
この種の「弁護士を儲けさせるのはけしからん」という問題のすり替えは、論者が擁護しようとしているステークスホルダーの国民的な評価が、論者がその権利をそぎ取ろうとしているステークスホルダーのそれに比べて低い場合に、弁護士とりわけ儲けている弁護士に対する国民の嫉妬心ないし悪感情に訴えることで、国民にとって評判の悪いステークスホルダーを擁護することを、あたかも「憎っくき弁護士叩き」に見せかけて、正義の味方のように振る舞おうという意図でなされるものです。
なお、消費者金融問題は、消費者金融が利息制限法の上限金利を徴収することによって間接的に利益を得る事業者の範囲が相当広い(これらの貸金業者から巨額の広告費を得ているマスメディア、これらの貸金業者に投資ないし融資をしている内外の金融機関等々)ために、それらの事業者ないしそれらの事業者の息がかかった学者、評論家から、相当のバッシングがなされることが今後も予想されます。
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