純粋に「民間」に任せるとどうなるのかという一事例
「携帯向け“健全”サイト認定機関EMAが初総会,審査料は100万円前後に」という記事に勢いよくはてなブックマークがついています。
有害情報のフィルタリングを純粋に「民間」の仕事としてしまうということは,その価格について国がコントロールすることもできないし,基準についても国は手出しをすることができないということです。したがって,フィルタリングで一儲けを企もうと思ったら,むしろ,完全に「民間」の自由にさせてもらった方がありがたいということができます。
特殊な宗教的倫理観に基づいてフィルタリングを行おうと思ったら,純粋な「民間」の仕事として行う方が圧倒的に楽です。国からの委託事業としてフィルタリングを行うのと比べて裁量の幅が圧倒的に広いので,「不当にフィルタリングされた」と感じた側がその不当性を争うのは圧倒的に難しくなります。
そういう意味では,この組織の委員となったエイベックスの岸博幸取締役や慶応大学の中村伊知哉教授が,「think-filtering」として,日本のデジタル社会を潰す「ネット有害情報規制法案」に反対する
なんてことを言っていたのは,ある意味象徴的です。
それに,
基準策定委員会の委員としては,虹の橋法律事務所の岩崎政孝弁護士,主婦連合会の木村たま代氏,有限責任中間法人ECネットワークの沢田登志子理事,國學院大學の高橋信行准教授,慶應義塾大学の中村伊知哉教授,イプシ・マーケティング研究所の野原佐和子社長,金沢星稜大学の村井万寿夫教授を選任。
というあたりも,国会同意人事で5人専門家を選んでいただいた方がよほどましなのではないかという気がしてなりません。個々人が人間として劣るという意味ではないのですが,何がどの程度子供たちにとって危険かということについて特段の知見を表明できそうなのってせいぜい岩崎先生くらいだし,その岩崎先生のポジションだって,奥村先生には全然敵わないわけだし(って,この種の基準作りをするのであれば,まず三顧の礼をもって奥村先生にご参加いただくのが筋ってものだと思いますけどね。堕落してしまった子供たちを相手にしてきた場数が断トツなんですから。),それ以前に児童の精神的な発達過程に関する専門家が1人も入っていないではないかというあたりがいやはやなんともです。
【追記】
この種の審査の対象って,CGMを含まないものについては申請段階でアップロードされているコンテンツを全て閲覧して行うだけの話だし,CGM系の場合は,年齢等にかかわらずアクセスできる領域への有害情報の投稿を予防するシステム及びそれをすり抜けて有害情報が投稿されたときにこれを発見して削除し又は青少年でないことが明らかな者しかアクセスできないようにするシステムの設計及び運用について審査するだけですから,プライバシーマークの取得に比べて審査対象が相当狭いと思うのですけどね。
TrackBack
URL TrackBack de cette note:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/13499/41061711
Voici les sites qui parlent de 純粋に「民間」に任せるとどうなるのかという一事例:
» 審査料は100万円て [touhou_huhaiの日記]
香ばしいですなぁ。 携帯向け“健全”サイト認定機関EMAが初総会,審査料は100万円前後に http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080430/300427/ 小倉先生が、ほーれ見ろ、だから国に任せといた方がましだったんだよ的なご意見を仰ってますが。 まぁ国に任せたらきっ... [Lire la suite]
Notifié le le 02/05/2008 à 02:03 AM
» ネット規制と審査機関 [mohno]
ふたたび「携帯向け“健全”サイト認定機関EMAが初総会,審査料は100万円前後に」について。これをプライバシーマークの審査料と対比するだけでは誤解を招くかなーと思って、メモ代わりに昨日のエントリを書いておいたわけだけど、さっそく小倉弁護士から、この種の審査の対象って,CGMを含まないものについては申請段階でアップロードされているコンテンツを全て閲覧して行うだけの話だし,CGM系の場合は,年齢等にかかわらずアクセスできる領域への有害情報の投稿を予防するシステム及びそれをすり抜けて有害情報が投稿されたと... [Lire la suite]
Notifié le le 03/05/2008 à 01:19 AM
Commentaires