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17/06/2008

業界を崩壊させるほどの蓋然性ありや

 普通だと思われていた行為で起訴された場合に業界は崩壊したのでしょうか。実例を見てみましょう。

 安田弁護士が逮捕、起訴され、高裁で逆転有罪となった事例についてみてみましょう。この事件において、安田先生がアドバイスしたスキーム自体はさほど特殊なものではありませんから、同様のスキームをアドバイスした経験のある弁護士は少なくないでしょう。しかし、そのようなスキームをアドバイスしたことで安田先生が有罪とされたことから、怖くなって弁護士をやめたという人はまずいないでしょう。赤字企業の再建業務が怖くなってやめてしまったという人もほぼいないはずです。それは、この事件が一種の「国策捜査」の一環であって、赤字企業を再建する際に有望な部門を切り離すというスキームを提言するとかなりの確率で訴追されるという事態に未だ至っていないと認識されていることが大きいでしょう。

 結局のところ、リスクの発生確率が0でないとしても著しく低い場合には、現在の職業を捨てるという大きな犠牲を払ってまでリスクを回避するという行動に出る人は無視できるほどに少ないということです。

 では、「医療の不確実性」故に患者が死に至るのを阻止できなかったに過ぎないのに医師が刑事訴追される確率は、医師に医師という職業を捨てさせるほどに高いのでしょうか。

 以前のエントリーでも紹介しましたが、医師による業務上過失致死傷被告事件の「平成11年から同16年4月までの公判件数は20件」です。そして、その多くは「医療の不確実性」とは関係のない事案です。従って、「医療の不確実性」故に患者が死に至るのを阻止できなかったことをもって業務上過失ありとされ刑事訴追される確率は、非常に低いものということができます。もちろん、自称「コメント欄のレベルが高い」ブログのコメント欄では、ミスを許容できない国民の側に問題があるかのごとき議論がなされてるわけで、あるいは、診療ミスにより患者を死に至らしめることすら「普通」の一環に組み入れた上で、そのような行為について刑事罰が科される場合には医師という職業を捨てなければならないという趣旨なのかもしれません。

 なお、某所での「議論」とやらに全くかけているのは、(業務上)過失致死罪にある応報刑的な側面を斟酌するということでしょう。

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