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13/06/2008

時間をとるか給与を取るか。

 「労働時間の短縮」という問題を考えた場合には、常に突きつけられる問題があります。給与を取るか時短をとるかという問題です。そして、これは、勤務医の勤務条件に関しても当てはまります。

 例えば、公立病院において、勤務医の人件費として年間1億6000万円の予算が付いたとした場合に、勤務医一人あたりの平均年収を1400万円程度に維持しようと思ったら、11人しか勤務医を雇用することができません。しかし、勤務医一人あたりの平均年収を米国の家庭医並みの水準(800万円程度)にとどめることで医師たちが納得するのであれば、その病院は20人の勤務医を雇用できることになります。すると、勤務医が11人の時には医師が週72時間働かなければこなせなかった仕事が、単純計算で言えば、勤務医が20人の時には週40時間働けば済むということになります。

 勤務医たちの間で「給料が減少してもいいから労働時間を短縮してほしい」という考えが広く共有されているのに、病院の方が「労働時間はともかく、高給を用意しないと、勤務医を確保できない」との意識が強い場合、医師と病院との間のコミュニケーションギャップに基づくミスマッチがあるということになります。そのミスマッチの解消は、ネットで匿名でマスコミや法曹や患者を罵ることによっては解消しません。

 また、給与の面についても、勤務医の平均給与を一定水準に維持する中で、勤務医間の給与格差をどうするのか(実績が乏しい間は低い給与水準に甘んずるが相当の実績を積んだ後は相当の高給を期待するのか、むしろ年功を加味せず労働時間ベースないし出来高ベースで給与を算定するのか等)という問題はあるのですが、これは医師内部での世代間対立をどうするのかという問題であって、医師内部でのコンセンサス作りをしてもらうよりありません。そして、それは、ネットで匿名でぐちぐちと愚痴をこぼしているだけでは不可能です。

 ネット上の医療系コメンテーターはすぐ米国での労働環境を羨むような言い回しをするわけですが、米国では、Committee of Interns and Residentsのようなものを結成してちゃんと戦うわけではないですか。処遇の改善って、そこからがスタートであって、それなしにネットで匿名で不満をぶちまけていても何ら改善はなされないわけで、それは「医師」だって変わりやしません。要求の100%を聞き届けることなんて客観状況が許さないのだから、結局、どの点を重点的に譲歩するのかを探っていかなければならないときに、交渉窓口がはっきりしない勢力と譲歩交渉なんてできないのですから。

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