出所のわからない一次情報を収集し公表することの意味
矢部弁護士がその開設するブログにおいて、「患者の暴力・暴言で退職した医療関係者、東京では273人」との記事を引用しつつ、医師または病院関係者からの実情報告等をいただければ、多くの人に問題の所在を認識してもらうのに有益だと思います。
と言い始めました。
しかし、その種の「実情報告等」をネットの匿名さんから集めてみたところで、「被害の主体」兼「一次情報の出所」がわからず、従って、情報の真実性の検証をしようがないわけですから、さほど意味がある話だとも思えません。医師たちに有利な方向に向けて世論を歪めるために一部の医師たちが全くの虚偽の事例を作り上げたり大げさな表現をしたりするモラルハザードの可能性も否定できません。特に、複数の匿名さんが「共通の敵」を見いだした場合、この「共通の敵」に関しては何を言ってもよい(といいますか、どんどん話をエスカレートさせることが望ましい)と言うことになりがちであり、「患者」を「共通の敵」とする医療系匿名コメンテーターさんたちがまことしやかな「ほら合戦」を始める危険性だって十分にあるのですが、そのような場合これを制御することは大変です(だって、嘘か本当か、検証のしようがないのですから。)。矢部先生にその覚悟があるのか、疑問です。
矢部弁護士のブログのコメント欄は、出所のわからない一次情報の信頼性に問題があることを指摘することすら許容される状況ではないようですので、もはや言うだけ無駄という気はしますが。
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ご自分のブログのコメント欄を医師たちのプロパガンダの発信基地として解放しておきながらよく言いますね。
Rédigé par: 小倉秀夫 | 09/06/2008 18:57
>矢部先生のブログのコメント欄の「空気」が、「日本の医師は無条件にすばらしい。それなのに、マスコミも、官僚も、法曹も、患者たちも、おのが欲望のために、不当に医師たちに言いがかりをふっかけてくる。医師の行動にこれらの輩が文句を言うことは許さないぞ!」という類のものであることは理解していますが、
このコメントを私はどう理解すればいいのでしょう(笑)
一応マジレスと受け止めておきますが、マジレスにしろおふざけにしろ、私がこのエントリにこれ以上コメントすることはありません。
プロパガンダを相手に議論するのは愚か者という批判を受けますので。
Rédigé par: モトケン | 09/06/2008 17:27
矢部先生のブログのコメント欄の「空気」が、「日本の医師は無条件にすばらしい。それなのに、マスコミも、官僚も、法曹も、患者たちも、おのが欲望のために、不当に医師たちに言いがかりをふっかけてくる。医師の行動にこれらの輩が文句を言うことは許さないぞ!」という類のものであることは理解していますが、「法の支配」を高く評価している私にはとうてい従えないものではあります。
「どう言うか」という問題についても留意されることは、常連コメンテーターさんたちにもお勧めください。
Rédigé par: 小倉秀夫 | 09/06/2008 01:37
>矢部弁護士のブログのコメント欄は、出所のわからない一次情報の信頼性に問題があることを指摘することすら許容される状況ではないようですので
あなたのコメントは、「出所のわからない一次情報の信頼性に問題があることを指摘する」という範囲を超えています。
私のブログのコメント欄の空気が読めていないと言わざるを得ません。
発言にあたっては、「何を言うか」という問題とともに「どう言うか」という問題についても留意されることをお勧めします。
Rédigé par: モトケン | 08/06/2008 23:00