その「一部」がどのようなポジションの人を含むのかはとても重要
過失による医療過誤の全部免責を要求しているのなんて医師の一部に過ぎないからそんなものを問題にするのはけしからんみたいな非難を受けているようです。
もちろん、私にも医師の友人、知人は少なからずいますので、ネットで声高に「俺たちに刑事免責を認めよ。さもなくば逃散だ。それで困るのはお前らだ」みたいな物言いをする医師ばかりでないことくらいは分かっています。
ただ、その「一部」がどのような人たちなのかというのは注意する必要があります。
例えば、全国医師連盟の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟のシンポジウム」で、世話人である黒川衛先生は、
超党派議連の皆さんは、議員立法を真剣に考えてください。と要求しています。
議員立法の内容は、二つです。
■医師に限らず、救命活動における刑事免責を確立してください。
■損害賠償に変えて、無過失保障制度、患者家族救済制度を国は設立して下さい。
これは、普通に読めば、医療行為を含めた救命活動における犯罪行為(まあ、過失犯に限定しているのでしょうが)の全面的な刑事免責と、医療行為について不法行為等に基づく損害賠償を医師等に行わせることをやめて、医師に過失があるか否かにかかわらず、患者ないし遺族に対し国が経済的な補償等を行う制度の創設を求めているという風に読めるのであって、それは、医療ミスによって患者を死に至らしめようが、医師には刑事責任も民事責任を負わせるなと要求しているように受け取ることができます(実際、パネリストとして招待されて登壇した国会議員も、リップサービス抜きでこの提案を撥ね付けているのであり、この要求は相当に反倫理的なものと受け止められていることが想像されます。)。
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