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19/07/2008

過ちは繰り返される、表示は無視される。

 引き続き医療過誤で医療従事者が刑事罰を科されるのはどういう場合かを見てみましょう。

 まず前提として、尿路血管等用の造影剤を脊髄硬膜外腔に注入して患者を死亡させた事案は昭和30年代に確認されており、さらに、尿路血管用造影剤ウログラフィンを脊髄造影用に脊髄に注入して患者を死亡させたことにより第一審で医師が実刑判決を受けるという事案が平成元年にあり、このため、平成3月11月には、ウログラフィンの添付文書に「本剤を脳・脊髄腔内に投与すると重篤な副作用が発現するおそれがあるので、脳槽・脊髄造影には使用しないこと」との表示がなされ、さらに、容器にも「尿路・血管用」と表示され、外箱にも、「脊髄造影禁止」との表示を赤枠で囲んで表示されていたということがあります。

 甲府地裁平成6年6月3日は、それにもかかわらず、医師が看護婦が差し出した尿路血管造影剤であるウログラフィンを脊髄造影剤であるイソビストと誤信して患者の脊髄腔にに注入して死亡させた事案です。

 沼津簡裁平成9年10月9日は、かつてウログラフィン注射液を間接造影検査に使用したことがあったことから脊髄造影検査にも使用できると誤信して、脊髄造影検査を行うにあたり、ウログラフィン注射液を患者の脊髄に注射して死亡させたという事案です。

 福島簡裁平成10年3月24日もまた、脊髄造影検査を行うにあたり、ウログラフィン注射液を脊髄腔内に注入して患者を死亡させたという事案です。

 ここで気がつくのは、ウログラフィンを脊髄腔内に注入したことにより患者を死亡させたという事例がすでに多発しており、「本剤を脳・脊髄腔内に投与すると重篤な副作用が発現するおそれがあるので、脳槽・脊髄造影には使用しないこと」という表示を製薬会社が目立つように行っていたとしても、これらの医師たちはなおもウログラフィンを脊髄腔内に注入し続けたという点です。

 で、これらの医師をも免責する刑事免責制度を導入すべきなのでしょうか。

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