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06/08/2008

医学部の定員の削減を望んだのは誰で、何故か。

 医師過剰論って、歴史が古いのですね。

 昭和48年05月09日の衆議院文教委員会で、文部省大学学術局長の木田宏氏は、

文部省といたしましても戦後、特に昭和三十年代の初めごろから理工系の学生増ということに勘案いたしまして、昭和二十年代に医学者、医師養成の定数をしぼり過ぎたのではないか。また、他の分野の拡大とあわせて医学系の定員増その他も考えるべきではないかということで、国立大学の医学部の定員増その他を進めようといたした時期もございました。しかし当時は医師会あるいは厚生省当局におきましても、医師が過剰であるということのゆえをもって医学系につきましては理工系倍増の措置をとりました際にも、非常にきびしい抑制意見をちょうだいしてまいったのでございます。そうした雰囲気がございましたために、理工系倍増その他の際に、多くの大学の新設の要求はございましたけれども、医科大学の新設要求は出てこなかった。設置申請主義をとっておりました現状から見て、このことについてやりようがなかったのでございまして、かろうじて国立大学の医学部の定員を、若干名ずつ昭和三十年度の後半からふやしてまいったのでございます。
と答弁しているのですね。

 昭和52年03月10日の参議院文教委員会で、

○山崎竜男君 私どもの心配しておることは、そういうふうにどんどんどんどん医者がふえていきますと、将来医者に失業者が出るんじゃないかという——これは出ても悪いと私は思わないんですけれども、ただ困りますことは、日本の医科大学というのは、医科大学だけしか出ないんです。外国の医科大学は、アメリカあたりは一般大学の何学部でもいいから卒業して学士号をもらって、それで医科大学へ行くわけでありますから、もし医者として生活できなくても、たとえば経済学者として出たりあるいは法律学者として生活の糧を得られるわけでありますが、日本の場合はちょっとその辺が違うんでありまして、そういう意味で、文明国の一応の基準は千人に対して医者一人、まあ八百五十人に対して医者が一人であればもう文明国の最先端であるというふうに私は理解しておるんですが、これもまた問題がありまして、日本の場合は、文部省では、人口何人に医者がどのぐらいいるのが適正値だと、これは厚生省の管轄かもしれませんが、いま計算しておられるんですか。
なんて質問が行われているのですね(ちなみに、山崎竜男議員は、元産婦人科医です。

 また、昭和55年02月18日の衆議院予算委員会で、坂口力議員は、

それに加えまして医師の数の増加というのが、これが医療費を高騰させる大きな原因になっておりますことは、いろいろの研究者の結果からも指摘されているところでございます。またベッド数が増加すればするほど、これも医療費が増加するということが言われております。そのほか医療技術の高度化というもの、これが進めば進むほど医療費がアップをする。それから薬剤費が高騰すればするほどこれもまた医療費が高くなる。こういった問題が医療費を増加させる要因として考えられるわけでございます。
 そこで、文部大臣にお聞きをしたいと思いますが、現在医学部がたくさんございますが、今後医学部の新増設というのがあるのかどうか、あるいはまた医学部の学生の定員増というものがあるのかどうかということをひとつお聞きをしまして、人口十万対比で結構でございますが、昭和六十年に医師、歯科医師の数がどのくらいになるのか、それから大体二十年先、これは先のことなのでわかるかどうかわかりませんけれども、大体どのくらいなところにいくというふうにお考えになっているか、わかりましたらひとつお答えをいただきたいと思います。
との質問をし、谷垣專一大臣から、
将来の状況を見ますと、不足の時代から若干充足をして、過剰になるかどうかこれは問題がありますが、そういう時代に入ってきておると思いますので、今後当面医科大学等のこれ以上の新設は考えておりません。しかし、先ほどお話がありました今後におきます医療水準の非常な高度化でありますとか、あるいは高齢化の時代とかいうものに対しましての問題がございますので、各方面と十分に協議をしていかなければならないと思っております。
との答弁を引き出しているのですね(坂口力議員も医師です。)。

 昭和56年10月15日の衆議院本会議で、塩田晋議員は、

最後に、病院経営の悪化、さらに医師の問題について質問いたします。
 最近は、病院なかんずく中小病院の経営は著しい苦境に立つものがあり、例年になく多数倒産していると言われております。政府は、これに対してどのような対策を考えているか、御答弁をいただきたいのであります。
 これにも関連いたしまして、近い将来、医師の過剰が言われています。現に医大、医学部等の相次ぐ新増設によって、医師の資格を取得しても、なかなか新規の開業ができないという事実があります。過疎、離島での不足が一方でありながら、明らかに全体としては過剰が予想されております。これらの将来状態を見越して、適切な措置を講ずべき時代に入ったと思うのでありますが、文部大臣のお考え及び対応策をお伺いいたします。
と質問し、田中龍夫大臣から、
ただいまの御質問の最終の要点は、医師の過剰という問題に対してどう対処するかという問題でございましたが、国立、公立、私立を通じまして、医大並びに医学部の新設やあるいはまた定員増加という問題を行わないということにいたしまして、これに対応いたしつつあります。
との答弁を引き出しているのですね(塩田晋議員は労働省出身ですね。)

 昭和56年10月16日衆議院の行財政改革に関する特別委員会で、米沢隆議員(旭化成出身ですね)は、

将来のお医者さんの数、先ほど私は大変だと申し上げましたけれども、確かにいろいろ調べてみますと、いまの医学部の定員は、学科定員八千三百四十人、昭和五十六年時点でおるのですね。いまからこの八千三百四十人、まあときには免許を取れない人もおったり、ドロップアウトする人もおるかもしれませんが、大体八千人前後の人がお灰者さんになって巣立っていくのですね。この状態がずっと続きまして、大体安足することになりますと、五十年後ぐらいには驚くなかれ四十二万三千人がお医者さんになるんだってね。それはお医者さんも人間ですから死んだりされますね。そういう生存率なんかを掛けていろんなむずかしい将来推計があるんだそうですが、そういう数字を見ましても、医学部と医科大学の現在の入学定員八千三百四十人がそのまま放置されますと、五十年後ぐらいにはお医者さんが四十二万三千人になる。歯学部、歯医者さんは、昭和五十六年学科定員は三千三百六十人だというのですが、この歯医者さんはそのころには十七万人にもなるというのですね。そういう意味では、現在の医科大学の定員というのは、将来のツケとして物すごい多くの歯医者さん、物すごい多くのお医者さん、そういうものを約束しているようなものなんですね。確かに一県一医科大学、お医者さんが足りないときにはどうしても各県ごとに医科大学が欲しかった。そういう施策はわかりますけれども、事ここに至って考えますと、これは大変な大量生産になり過ぎたという反省をしてもらわないと、私は大変ではないかという気がするのでございます。
 そういう意味で、現在の医科大学、歯学部、この定員設定はどういう根拠で決められたのか。何年ごろに何人ぐらいになるという、そういう設計がなされた上でこの学科定員は決められたのかどうか、文部大臣、ちょっとお答えいただきたい。
と質問し、田中龍夫大臣から、
 昭和四十五年に無医大県の計画が出されまして、ただいまお話しのように、今日十万人当たりの医師大体百五十名、歯科医師五十屑、これはもう歯科医師の方は昭和五十四年で五十名に到達いたしております。それから医師の方が百四十名ぐらいになっておりますから、もうすぐこれは百五十名になります。
 さような関係から、文部省といたしましての方針でありますが、これ以上どんどんとふえますとただいまお話しのような結果になりますので、医科大学、国立、公立、私立大学の学部並びに定員はもう増加しないということにいたしてとめてあります。

という答弁を引き出していますね。米沢議員は、それでも飽きたらず、
とめてあるのは結構なんですよ。とめたら大変なことになると、こう言うておるんだ。たとえば、いまお医者さんの数は十七万人ですね。歯医者さんの数は五万人ですよ。それが四十二万になり十七万になる、そういう設計でいま学科定員があるということ自体、どこかで修正しないと大変ですよ。いまのものをとめたらこんなになるのです、四十二万にも十七万にも。答えになってないんですね。ぜひ文部省は早急に、一体どういう形で医者が伸びていくのか、将来設計を見た上でやはり削減の方向を考えねばなりませんね。五十年後はお医者さんが十万人当たり四百人ぐらいになるというんだ。少なくともこれはちょっと多過ぎますよ、どう考えても。少々医療サービスがよくできるように十万人当たり二百人ぐらいにするにしても、現在の国立大学あたりの、あるいは歯学部あたりの定員を半分ぐらいにするようなことにしないと二百人にならないですよ。削ったら国公立大学の先生方減りますよ。完全な行政改革だな。行政改革ですよ。
と追及し、渡辺美智雄大蔵大臣が「大変興味を持っております。」と答えるや、
余り持ち過ぎるなという話がありますが、これは持ってもらって結構だと思いますね。それが余りドラスティックになりますとそれは大変になりますけれども、徐々に今度は学科定員——各県にみんな一医科大学ができたのは結構ですよ。しかし、その中の定員を少しずつ減らしていく。同時に、学校関係の先生方とか助教授とかいろんな職員がおりますが、そこらにも少しずつ、余り影響ないようなかっこうで減らしていく。そういうことをしない限り——することが行革であり、同時に、それを放置しておくならば、高齢化社会とともにお医者さんがふえるということは、やはり医療費そのものは相当の大きな影響を受けるであろう、そういう感覚を厚生大臣、持ってもらいたい。
と畳み掛けているのですね。なお、このころは、米沢議員の
お医者さんの数あるいは医療機関の数、そういうものがふえていけばどうしても国民医療費はふえていく、そういう関係にあるような気がするのですが、医師数、医療機関の増大は国民医療費にとってどういう影響があるのか、厚生大臣。
に対し、村山大臣が
今日の状況を考えてみますと、診療所の数あるいはお医者さんの数からいいまして、大体われわれは昭和六十年度に人口十万当たり百五十人くらいのお医者さんがどうか、そう言っていたのでございますが、すでにその線上よりもさらにお医者さんの数がふえているように思います。そういたしますと、大体ニーズは満たしているんではないであろうか。だから、理論的にはおっしゃる点がないとは言いませんけれども、現実的には、それだからといって医療費がそんなにふえるものではない、私は、私の勘でございますけれども、そう思っております。
と答えているように、厚生省としては、医師の増加→医療費の増加とはとらえていなかったのですね。

 さらに、昭和58年03月30日の参議院文教委員会で、高木健太郎議員(この方は医師ですね。)は、

 次にお聞きしたいのは、医科大学というのは現在八十校ぐらいでございますか、私正確な数は知りませんが、そうして年間約七千五百名ぐらいの医師が生まれているわけでございます。こうしていきますと、最初の医科大学の設置の目的でありました人口十万人に対して百五十人と、欧米並みの数にするというようなことはもう間もなく達成できるでありましょうし、ある府県におきましてはもうとっくに二百人を超しているわけでございまして、医師過剰時代が言われております。
 京都なんかでは非常に、二百名を超しておりますけれども、京都府は何とかいままでやってきているわけです。その何とかやってきた原因を探ってみますと、その一つには、ここに私ちょっとグラフを書いてきましたが、昭和三十年に九万四千五百六十三人であった医師が、現在、昭和五十六年には十六万二千八百八十人、こういうふうにふえている、これはしかも特に四十五年以降急激な増加を示しているというわけです。
   〔理事片山正英君退席、委員長着席〕
この医者が、昔はほとんど大部分は一般開業医として町に散っていったわけでございますが、昭和四十五年以降、そのような医院の開設者というのは急にこういうふうに減ってまいりまして、そして病院であるとか医育機関に勤務する勤務医と称するものがずっとこういうふうにふえてきているわけです。この医育機関に、あるいは病院に勤務する勤務医が、京都のように病院や医育機関が多いところでももうほとんど飽和しているわけです。そして一般医院開設者は、病院を一つつくる、医院をつくるということが非常に経済的な負担が大きいものですから、若い人たち、四十以下の人たちではほとんどありません。いま現在四十から六十ぐらいの人が開設者でございまして、若い人たちが新たに開設するということはきわめて少ないわけで、ここにそういう数字もございます。
 こういうことを見ていきますと、このままで進みましても、勤務医としてそれを収容できる間は問題は起こりませんが、ある線を超しますというと途端にまた失業というような問題も起こってくる。また医師会なんかの方からは、収入が減るんじゃないかと、まあふえぬのはしようがないといたしましても、大変医師の諸君はそれを心配をしているわけです。
と述べた上で、
 きょうの朝日新聞を見ましても、診療所の平均所得が、五十六年には年収に換算して約二千万円ぐらい、一般サラリーマンが平均年収が三百三十万円ですから、約六・五倍の診療所の収入があった。ところが、五十一年の場合にはサラリーマンの収入が二百四十万、そして診療所の方は一千九百四十万で、そのときには八倍であった。それが いまはもう六・五倍になった。これがさらに進むというともっと下がっていくんだ、しかも診療費その他の締めつけが、あるいは薬価基準等の締めつけがございまして収入が非常に減ってきた。こういうことから、お聞き及びだと思いますけれども、医科大学をつくり過ぎたんではないかという、そういう非難といいますかね、批評があるわけですね。
 それからもう一つは、それではこれからどうするのか、野方図にふやしていっていいのかということです。恐らく悪い医科大学は廃止されるんじゃないか、あるいはどこかと統合させられるのではないかという心配をしている人たちが、学長さんやその他の経営者の中にもあるわけです。そういううわさを、あるいは話をお聞きになりましたかどうか。また、こういうように医師過剰時代にこのままほうっておかれるのかどうか、その点のお考えをお聞きしたいと思います。
なんて質問をし、宮地貫一文部省大学局長から、
 ただ、従来の目標を達成することが確実にはなってきておりますけれども、なお医師確保の困難を、これは地域的な偏在でございますとかいろんな問題があるわけでございますが、そういうようなことからしますと、現時点では直ちに医師が過剰であるというぐあいには言えないのではないかと私どもは判断をいたしております。
 また、医療需要そのものも今後ふえることが予想されますし、従来の目標値でございます人口十万人に対して百五十人という目標値そのものについてもやはり検討を要する問題ではないかと思います。
との答弁しか引き出せないとなると、
この問題はなかなか要因がたくさんございまして、いまここで決めるというわけにいきませんでしょうが、もう京都なんかすでに二百人を超しておるわけですね。都会では大体二百人を超している。平均百五十人であってもすでに密集地では非常にふえているというわけです。それが何となくやっていけているというのは、私がここに言いましたように大病院なんかにプールされているということなんですね。ところがそれがいっぱいになったときに一遍に噴き出しますよということを私は申し上げているわけです。その点をぜひお考えに入れないと、百五十人がどうだというようなその数だけではうまくいかないのではないか。
ということを言い出すのですね。

 昭和59年02月09日の参議院本会議でも、中山太郎議員(小児科医ですね)は、

 これから起こってくる問題の一つに、医師の過剰問題があります。昭和四十四年、自民党は六十年までに人口十万に対して医者は百五十人程度にすべきという方針を出してまいりました。昭和四十四年私立医大の新設が認められ、地域対策として一県一医大の設置が進められてまいりました。
 昨年十一月、厚生省は五十七年末現在の医師、歯科医師、薬剤師の状況を発表いたしました。届け出医師数は十六万七千九百五十二人、人口十万に対する医師数は百四十一・五人、しかし無届けの医師が八千人余りいるので、これを加えると医師数は十七万六千人と相なります。そうすると、十万に対して医師数は既に百四十九を示しています。厚生省が当面目標とした昭和六十年に人口十万に対し百五十人を達成することが明らかになってまいりました。毎年、一年間に国公立、私立の医学部の入学の学生数は八千三百六十人であります。医師過剰時代に備えて、政府は一体どのような考え方でこれから医学部の学生の応募に対する方針を立てていくのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
と質問していますね。そして、渡部恒三厚生大臣から、
医師、歯科医師及び薬剤師の数の問題につきましては、将来の需給バランスを見通した適切な養成が求められております。特に、御指摘のとおり、医師、歯科医師数につきましては、現状のまま推移すれば将来大幅に増加するものと見込まれます。このため、現在文部、厚生両省の間において、将来を見通した適正な水準について鋭意幅広い検討を進めておるところであり、できるだけ早急に結論を得て対処したいと考えておりますので、御了承をいただきたいと思います。
との答弁を引き出していますね。

 昭和59年03月12日の衆議院予算委員会で

そこで、いずれにしても四十五年の構想が既に達成されて、このままいきますと七十年代には十万対比医師数が二百というような状況にもなろうとしておるわけですから、そういうことになりますと、医師の過剰が結果的には医療制度の混乱、あるいはまた一部で言われておりますように医療の質的な低下、こういうことが恐れられておるわけでございます。そこで、文部省も、既に大臣からもお答えがあっているようでございますが、もう少し突っ込んで具体的な御回答をお願い申し上げたい。
と述べている河野正議員も医師ですね。

 むしろ、このころ、厚生省は、

現在の医師数の状況をもちまして医療の世界における医師の充足状況を見ますと、なおいろいろなところで医師が足りないという状況がございますから、現在の時点で過剰だというふうには考えておりません。
 将来の問題でございますけれども、厚生省の推計によりますと、昭和七十五年では、現在の養成力のままでまいりますと約二十七万人の医師、人口十万対比の表現をいたしますと二百十名になります。さらにそれ以降、昭和百年になりますと、ちょうど現在の倍の、人口十万対で三百人程度になるのではないかというふうに思っております。
 私どもは、そのことをもってすぐに過剰か過剰でないかということを判断しているわけではございませんで、当然医師に対する需要は、人口が高齢化し医療の受療率が高まれば医師に対する需要もふえていくわけでございますけれども、そういうことも織り込んで将来の医師数というものがどのくらい必要か、新たに目標を設定する時期に来ているという判断をしているわけでございます。
(by 横尾和子厚生省医務局医事課長の昭和59年04月06日の参議院文教委員会における答弁)というように、医師過剰論に与しなかったのですね。 として

 この医師出身議員が医師過剰論を振りかざして医学部の定員抑制を求めるという傾向は、平成に入ってからも続きます。平成01年11月15日の参議院決算委員会で菅野壽議員(医師であり、日本医師会の常任理事ですね)は、

諸外国の状況でありますが、医師の数が大変多くなった場合に医師の過当競争による混乱という問題が懸念されております。すなわち、過当競争により悪貨が良貨を駆逐するという心配もあるのではないでしょうか。既に諸外国におきましては医師が過剰になっていることも多いように聞いていますが、各国の医師の過当競争の問題状況とこれに関することをお伺いしたいと思います。
と質問し、仲村英一厚生省健康政策局長から、
現在既に欧米諸国では人口十万対医師数が二百二十から二百三十以上の国が出てきておりますが、お医者さんが失業するという状態が出来しておるという国もあるようでございます。必ずしも厳密な数字ではございませんが、丸い数字で申し上げますと、西ドイツでは二万二千人、イタリアでは四万五千人、フランスでは千八百人、イギリス三千人というぐらいのオーダーで職がないお医者さんがおられるという情報を承知しておるところでございます。
 それから、新たに医師免許を取得された方のうち、卒後の臨床研修を受ける場所がない、機会がないという西ドイツのような例もございますし、フランスの場合などは、医学部に入学いたしましても、途中で厳しくふるいをかけまして、七、八割はほかの学部へ回すというような状況もあるようでございます。それからアメリカの場合などは、外国からのお医者さんの受け入れは抑制するということで、むしろこれは技術移転の問題として問題にされるという指摘もあるような状況でございます。
 それから、御指摘のように、医師が過剰になることによりまして、過当競争によって良質な医療が確保されないということも起こり得る、危惧されるということでございますので、先ほどのような御意見も踏まえまして、私ども医師数を適正な数にできるだけ近づけたいということで考えておるところでございます。
との答弁を引き出していますね。

 平成05年11月09日の参議院文教委員会で、宮崎秀樹議員(医師であり、日本医師会副会長ですね)は、

次は、大学の医学部、医科大学の学生定員の問題でございます。
 これに関しましてはいろいろ定員削減という方向で文部省と厚生省との話し合いができておりまして、実行に移すということはかねてから行われているのでありますが、しかし昭和五十五年から公立学校の定員、これは八校でございますけれども、一人たりとも減っていない。また、国立大学は平成二年から削減されていない。私学はほんの少しですけれども漸減をしてきておるような状況でございます。
 一〇%削減、こういう目標を立ててやっているのですが、実際にはそこまでいっていない。このまま放置しますと、人口十万に対して相当な医師の数になってくるわけです。例えば昭和六十三年には十万対百六十四人だった。これが平成三十七年には三百人になるんです。三百人というのはいかにも医師の数が多過ぎる。

という発言をされています。

 むしろ、医師不足論が国会で取り上げられたのは(医療過疎論はともかく)、平成11年03月11日の参議院予算員会の日下部禧代子議員の質問当あたりからではないかと思いますし、これに対しては、有馬文部大臣から「平成九年六月の閣議決定及び昨年五月の厚生省の歯科医師の需給に関する検討会報告において、将来の過剰に対応して削減する必要があると指摘されております」「文部省といたしましては、同報告を踏まえまして、関係者における検討状況等を見ながら適切に対応してまいりたいと思っております。」と交わされて終わっています(日下部議員は社民党所属なので、それほど力がありませんし。)

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