冤罪に憤る人の多くは刑事実体法の廃止を主張しない
例えば、電車内で痴漢をしたとしてサラリーマンが有罪となった案件の中に自分たちの目から見て不可解なものがあった場合に、裁判所不信に陥ることはあるかもしれません。ただ、その場合に私たちが要求するのは、刑事訴訟手続の改善(運用面での改善を含む。)であって、電車通勤をするサラリーマンに痴漢行為についての刑事免責を付与せよとの実体法の改正を求めることではなく、電車通勤をするサラリーマンによる痴漢行為について公訴権を事実上奪い、電車通勤をするサラリーマンからなる「痴漢行為調査委員会」の判断に法的強制力を付与することではありません。かの周防監督も、痴漢の合法化なんて主張はしていません。
例えば、自動車事故に関して業務上過失致死罪で長距離トラック運転手が有罪となった案件の中に自分たちの目から見て不可解なものがあった場合に、裁判所不信に陥ることはあるかもしれません。ただ、その場合に私たちが要求するのは、やはり、刑事訴訟手続の改善(運用面での改善を含む。)であって、自動車事故で人が死のうとも長距離トラック運転手に刑事免責を付与せよとの実体法の改正を求めることではなく、長距離トラック運転手による交通事故死について公訴権を事実上奪い、長距離トラック運転手からなる「長距離トラック運転手調査委員会」の判断に法的強制力を付与することでもなく、「人は必ず死ぬものだ」と遺族に達観を求めることでもありません。
これらのことは、ごく一部の業界の方、および同業界の方に慕われたいというごく一部の方々以外には概ね理解されているように思います。
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