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09/09/2008

出版133社代表の声明

 「出版133社代表がオリコン訴訟の公正な審理を求め共同声明」という記事がJANJANにあがっています。

 ただ,名誉毀損記事を掲載した場合の慰謝料額が安いと,弁護士を雇って裁判を起こして白黒つけるということが,たとえ勝っても採算割れという悲劇を引き起こします。また,ろくに裏取りもせずに他人の名誉を毀損する記事を書き立てることにより得られる利益が,採算を度外視して提訴に踏み切ったごく一部の被害者との訴訟に負けて支払いを余儀なくされた場合の慰謝料の期待値を上回る場合は,どっかで聴いたうわさ話をさも真実のように書き立てた方が,裏取り取材をしてそのうわさ話の裏がとれなかった場合には掲載を断念するより経済的に合理的だと言うことになります。それは中・長期的にはマスメディアの信頼を失わせることにつながるので,却ってマスメディアの健全な発展のためにもよくはないように思います。

 記事の中には,

このような判決がまかりとおり、取材源秘匿の原則が否定されれば、事実上、雑誌や書籍の編集発行はきわめて制約されます。憲法に保障された言論・出版の自由、報道の自由は大きく阻害されます。そして、国民の知る権利にとって由々しい事態を招くことは明らかです。
とあるのですが,実際,「匿名の内部告発」を作り上げて捏造記事を書き立てるメディアもあるので,「誰かは言えないけれども,自分は関係者からこういう話を聞いた」という類の証言に高い証拠価値を認めるのはいかがなものかとは思ってしまいます。それに,取材源の秘匿って,匿名の告発者から聞き取ったという話にしておけば,その者が語ったとする事実の真実性を認定してもらえる,という都合のよい法理ではないので,「誰かは言えないけれども,自分は関係者からこういう話を聞いた」という類の証言に高い証拠価値を認めなかったということは取材源秘匿の原則の否定ではありません(米国での取材源秘匿の法理は,証言拒絶→法廷侮辱→収監という厳しい環境を前提としたものであり,自ら収監されることを甘受してでも秘匿を約して取材を申し込んだ取材源に係る情報は秘匿するというのが米国のジャーナリズムの精神です。)。

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