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23/09/2008

法律家のいない調査委員会なんて,コーヒーのないクリープのようなものだ。

 全国医師連盟の試案において,刑事訴訟法上の証拠法則への配慮が足りないのは仕方がない面があります。彼ら自身は法律の素人ですし,彼らには,まともに法的なアドバイスをするブレーンがいないわけですから(1000人の会員が1万円ずつ出し合えば合計1000万円になりますから,それなりに法的システムを作り上げることの出来る能力のある弁護士に素案作りを依頼できるとは思いますが。)。

 ただ,医師の刑事責任を追及するか否かを定める重要な役割を「医療安全調査委員会」に負わせようというのに,そのメンバーを現役医師に限定してしまおうとするあたり,政治性又は社会性に欠けているといわざるを得ません。普通,この種の組織は,責任追及の可否が問われる集団外のメンバーを広く入れることにより,公平性ないし中立性があることを示そうとするものです。

 さらにいえば,責任を逃れたいばかりに嘘をついているかもしれない相手から事情聴取を行うということが本当に現役の医師達にできるのかということを考えれば,現役の医師達でメンバーを固めた「医療安全調査委員会」に,警察・検察による調査を中断させる権限を与えることは不適切だといわざるを得ないでしょう(お医者様は,自分たちは偏差値が高いから文系の連中が出来ることは何でも出来ると思っているのかもしれませんが,嘘をついているかもしれない人々を相手に嘘を見破っていくというのはそれなりに技術と経験を要します。)。この種の組織を作り,運営するに当たって,事実調査,事実認定に関して,法律家に仕事をさせないというのは,普通に考えると下策です。

 また,全国医師連盟の試案では,「医療安全調査委員会」の委員長も現役の現場の医師の中から選ぶとしているのですが,委員長の仕事を甘く見すぎなのではないかという気がしてなりません。この種の委員会の委員長というのは,委員全員の意見をきちんと聞いてその内容を理解しつつ,論点を適切に把握し,次に何をすべきかを委員や事務局に指示し,最終的な結論のとりまとめまで行う必要があります。そんな大役を引き受けられる「現役の現場医師」なんてそもそもいるのか疑問です。

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