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25/10/2008

法科大学院 多様な人材登用はうそか

 「法科大学院 多様な人材登用はうそか」という朝日新聞に掲載された投稿が,岡口判事や落合弁護士に取り上げられています。

 「法学部4年+既習者コース2年=6年」と「未習者コース3年」とでは,単純計算で法律学習期間に2倍の差があるのですから,両者に差をつけることなく,同じ問題を解かせ,同じ採点基準で採点し,特別な合格枠を用意しないのであれば,前者の合格率が後者の合格率よりも相当程度高くなるのは自然なことです。とはいえ,既に前期修習がない現行制度下において,他学部出身の未習者のみ特別枠を設けて低い習熟度段階で司法試験に合格させると,おそらく「実務修習→二回試験→実務」が悲惨なことになりそうですし,二回試験までは特別扱いをすることができるにせよ,「他学部出身の未習者コース出身者は,司法試験であるいは二回試験で特別扱いされて資格を取得していることもあり,使い勝手が悪い」との評判が実務法曹の間に広がると,勤務弁護士としてOJTを受ける機会が狭まることになります。それはそれで,却って「多様な人材登用」の実現を困難ならしめるのではないかという気がします。

 他学部卒の法科大学院生に一定の救済を与えるとすれば,法学,政治学系以外の学部の学士号をもっている場合には,法律選択科目の単位取得,および,法律選択科目の司法試験での選択を免除(学士号をもって一定の得点を加算)することとし,基本六法の習得により専念できる環境を作り出すくらいかなあと思わなくはありません。まあ,理系の方のなかには知的財産権法をやりたい人も少なからずおられるとは思いますが,基本六法で法律の解釈手法が身についていれば,弁護士になってから勉強しても知的財産権法の習得はさほど難しくありませんし(というか,私を含めて,知的財産権法でそれなりの実績を有している実務法曹のほとんどは,学生時代,大学で知的財産権法の授業をまともに受けていませんし。),基本六法,とりわけ民法の理解が十分でないと,準物権たる知的財産権法の理解もまた進みにくいのです。

 

 なお,「多様な人材の登用」という意味では,試験の結果しか問われない旧司法試験の方が,人材の多様性を確保できるのになあという思いは未だにあります。法科大学院制度では,法科大学院の入試担当者のお眼鏡にかなう人生を送ってこなかった人や,法科大学院に進学する経済的なゆとりのない人は,法科大学院に入学できず,法曹への道を閉ざされてしまう危険が十分にあるからです。実際,研修所のクラスメートなんかでも,「友達の友達」にではなく「友達」にテロリストがいるような人もいたりするわけですが,そういう人が正直に履歴書を書いて出願したら,書面審査ではねられてしまいそうですし。

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