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17/11/2008

国籍法改正問題とDNA鑑定

 国籍法第3条第1項の改正との関係で,同項による国籍取得の要件としてDNA鑑定での父子関係の立証を要件にせよとの声も上がっているようです。しかし,そうしてしまうと困るのは,強制認知との関係です。

 例えば,日本国籍を有する男性Xと日本国籍を有しない女性Yが一時同棲状態となり,その間,Yは妊娠し,そのことを告げるやXはYの元から逃げ出していったというありがちな事例を考えてみましょう。YはZを出産し,Zの法定代理人として,Xに対してZを認知せよという訴訟を提起したとします。

 現行法上は,所詮民事訴訟にすぎない認知請求事件でDNA鑑定のための細胞採取等を強制する手続はありませんので,XがDNA鑑定を拒んだ場合,Yにはこれをなす手段はありません。ただし,そのような科学的裏付けが得られなかったからといって認知請求を認容することは可能ですので(東京高判昭和57年6月30日判タ478号119頁),Zを妊娠したと思料される期間内にYがX以外の男性と性的関係を結んだことが明らかにならなければ,認知請求が認められることは十分にあり得るでしょう。まあ,任意認知の場合のみDNA鑑定による親子関係の立証を要求するというのは,実務レベルの準則では可能だと思いますが,それを法文に盛り込むのは如何なものかなあ,という気がしなくもありません(いわゆる「縦書き」案をさっと作ってみると判ると思いますが。)。

 で,国籍法第3条第1項による国籍取得においてDNA鑑定を要件とした場合,Zは,同項による国籍取得が適わないということになります。では,そのようないい加減な日本人男性の子供を,日本国は見捨ててもよいのかということが問題となります。そのような事態に憤りを覚えない人を「民族主義者」と呼ぶことを私は憚ってしまいます。

 さらにいえば,わが国では親子関係に関してはそれほどDNA的な繋がりを重視していない(代理母を利用して子供を出産した場合,遺伝的な繋がりはない代理母の実子という扱いをしているし,推定される嫡出子について提訴期間経過後の親子関係不存在確認訴訟について,最判平成12年3月14日判時1708号106頁は,いわゆる外観説に立っていたりします。)のに,国籍法第3条第1項との関係のみ突然「科学的鑑定絶対!」みたいな扱いをしてしまうのも,バランスを欠いているのではないかという気がしてなりません。

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