『国籍法改正案を検証する会合』に賛同する議員の会?
国籍法改正案まとめWIKIによると,『国籍法改正案を検証する会合』に賛同する議員の会というのが急遽立ち上がったとのことです。
これによれば,この議連は,案内文の中で,国籍法改正によって 「想定される偽装認知」 についての例示を行ったそうです。国会議員たるものがこのようなデマを同僚に対して流布しているとはにわかに信じがたいところです。
一応,このwikiの記載を前提に検証をしていくこととします。
第三国の女性を、国内の犯罪組織に所属している男性が大量認知して、売春等犯罪に悪用。(国際的に「性奴隷」と批判される)
まさか,愛国心に溢れている方の愛する日本というのは,法律上の父子関係が認められれば,親が子に対し売春等を強いることも許されるという共通理解があるのではないでしょうね。普通に考えれば,「大量認知」しようとする段階ですでに戸籍窓口でストップが掛かると思いますし,また,売春等が摘発された段階で偽装認知も発覚します(警察には売春婦たる女性の在留資格を捜査する権限がありますし,その過程で戸籍謄本を取り寄せることも可能です。偽装結婚であることを疑うに足りる事実があれば,令状を取ってDNA検査することも可能です。)が,その場合,公正証書不実原本記載罪を含めた罪が加算されますから,「犯罪組織に所属している男性」としては,観光ビザで連れてきて売春させるのと比較して,おいしい部分はないです。
国際テロリスト及びその子孫を認知することも可能になる。仮に、正規の日本国籍を取得した「日本人」がテロ事件を起こした時に損なう国の名誉は甚大である。(国際的にテロ国家と批判される)
どこの国にもテロ事件を起こすような人は存在しうるし,日本も従前例外ではなかった(日本赤軍は,国際的にはかなり知られた存在です。)が,特定のテロリストの国籍国であるということを理由に国際的に「テロ国家」と批判されている例を寡聞にして知りません(とりあえず,ビンラディン氏の国籍国であるサウジアラビアですら,そのことを理由として,国際的にテロ国家と批判されることはないように思います。)。
三、現在、日本の国籍が高額で売買されている現状では、日本国内に長期滞在することを目的として、犯罪組織の男性でなくても、経済的に困窮している男性に高額な報酬で「偽装認知犯罪」が一般的に行われるであろう。
まず,「現在,日本国籍が高額で売買されている現状」という認識が間違っています。また,「偽装認知」というのは認知の対象となる子供が妊娠したと想定される時機にその子供の母親が独身であって,かつ,認知者たる男性と性的関係を結ぶような間柄であったことが必要なので,経済的に困窮している男性が軽々しく行えるものではありません(国外で生まれた子について認知するためには,その出生当時,その母がいた国や地域にいたことが証明できなければなりません。)。
第三国で生活している女性が、日本の「社会福祉制度」の悪用を意図して、「特別在留許可」等の目的で第三国で生まれ生活している第三国人の子供を、日本人男性に「認知」してもらい日本入国を果たす。「改正案」には扶養の義務がないので、入国後は「育児手当」「生活保護費」など税金が使われる。
とのことですが,国籍法はいかなる場合に日本国籍を付与するのかを定める法律ですので,国籍法に扶養義務についての規定を置かないのは当然です(各国の国籍法もそうしています。)。認知により父子関係が認められれば,民法上の規定により,「父」に扶養義務が発生しますし,「父」がいる以上,簡単に生活保護は受給できません。
扶養の義務が無いことで、国内に短期滞在している第三国人女性が「特別在留許可」取得を目的として、「大金」を支払って日本人男性の子供を妊娠する可能性もある。これは「偽装認知」としての犯罪ではないので、「DNA鑑定」しても防ぐことはできない
とのことですが,「想定される偽装認知」の例として,「偽装認知」ではないことが明らかなものを提示するのはいかがなものでしょうか。
ところでこの議連には牧原ひでき衆議院議員も名を連ねているようですが,この程度の法解釈能力しか有していない弁護士に仕事をさせていたことが白日の下に晒された旧あさひ法律事務所は,お気の毒な限りです。
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Voici les sites qui parlent de: 『国籍法改正案を検証する会合』に賛同する議員の会?:
» 匿名掲示板が実体社会を動かした [我流投資記録]
iGoogleのガジェットに『2ch速報+』などを入れているため、国籍法改正反対運動が匿名掲示板で熱く展開されいるのを知ることになった。
垣間見るに、国会議員やマスコミのFAX番号が公開され、怒涛のFAXが流れたようだ。ブログでは、河野太郎blogが今でも炎上しているのが見れる。
運動のためのWikiも立ち上り、動画も何種類かあるので、国籍法改正反対について簡単にそのイメージが分かる。彼らの主張に謙虚に耳を傾けてみて欲しい。
今回の騒動は、記者も参加しているようで産経新聞の阿比留瑠... [Lire la suite]
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