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15/11/2008

自分たちだけ税引き後の金額を示して「実質所得は高くない」ということはフェアなのだろうか

 日本医師会総合政策研究機構の前田由美子氏の「『医療経済実態調査結果速報-平成17 年6 月実施-』に関する分析」には,次のような記述があります。

このように計算上控除可能なものを差し引いただけであるが、その結果、有床診療所では年間の収支差が2,849 万円(月額237 万円)【16 頁】といっても、開業医の年収相当額は1,022 万円以下、無床診療所では年間の収支差が2,728 万円(月額227万円)【16 頁】といっても開業医の年収相当額は1,121 万円以下と計算された。
 なお、キャッシュフローという意味では減価償却費を加えたものが手元に残っているが、キャッシュフローの中から設備投資および設備投資のための積み立ても行っていかなければならない。平均的な開業医の可処分所得は最終的には1,000 万円を切ることは明らかである。

 しかし,これは明らかにまやかしの議論ですね。一般に,年収に関する統計処理を行う場合には,そこでいう「年収」は税込みの「年収」を用いるわけです。何で開業医の「年収相当額」だけ,税引き後の数字を用いるのでしょうか(まさか,開業医以外は所得税や住民税を支払っていないと思っていないですよね>前田さん)。

 また,退職金相当金についても,有床診療所で128万円,無床診療所で140万円というのは,一般サラリーマンと比較するつもりならば多く積み過ぎであって,大卒で60歳定年の場合の退職金の平均は2400万円程度ですから,1年平均で63〜4万円位を会社に預けている計算にしかなっていないのです。

 設備投資のための借財の返済金はサラリーマンは負担しないものであるという点を酌んだとしても,サラリーマン等の「年収」にあたるのは,有床診療所で2264万円,無床診療所で2311万円ということになります。

 上記報告書はさらに,

なお、キャッシュフローという意味では減価償却費を加えたものが手元に残っているが、キャッシュフローの中から設備投資および設備投資のための積み立ても行っていかなければならない。平均的な開業医の可処分所得は最終的には1,000 万円を切ることは明らかである。
とあるのですが,借金をして購入した設備に関しても減価償却の対象となる以上,減価償却分を全て次の設備投資のための積立金と同視して,借財の返済金とは別に,「キャッシュフロー」から控除して,「実質的可処分所得」を算出するのがフェアだとは思えなかったりします。

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