« 全国教育問題協議会の統計処理能力 | Accueil | どんだけ衆愚だよ »

02/11/2008

予算に限りがある現実社会では,頭数の問題と給料の問題は切り離せない

 勤務医が不足することによる「医療崩壊」を防ぐために,「医師をもっと厚遇せよ,医師に特権を与えよ」という医療側の一連の議論は,上記「医療崩壊」を防止するためには,「勤務医→開業医」の流れを食い止め,逆に「開業医→勤務医」という流れを作りだそうというものだったと思っていたのでしたが,NOVTANさんのこのエントリーは,そこの根本の部分でちゃぶ台返しをしようというものです。

 いやまあ,きっと,「勤務医不足は,勤務医の給料が安すぎるのがいけないのだ。医療費を増額して勤務医の給与水準を引き上げろ」みたいな主張に対しても,お金の問題ではないと反論して下さるのでしょう。でも、医者の給料は高すぎる!給料を減らすべき!って考える人も当然いていいと思うわけです。だからといって、今の激務で給料まで下げるんなら辞めるって人がどのくらいいるかと思うとね。とNOVTANさんは仰っていますが,開業医の所得水準が大幅に下がれば,勤務医は病院勤務を辞めるともっと所得水準が下がることになるわけですから,現在のように,「治外法権を認めてもらえないなら病院勤めなどやめてやる!医療ミスで患者を死なせたからといって,患者の遺族が俺たちに感謝の意を表せず,むしろ俺たちを責め立てたり,俺たちに訴訟を起こしてくるのであれば,病院勤めなどやめてやる!」みたいなことって軽々しくできなくなるわけです(医療系の方々は,医師の所得水準がキー局の正社員やパイロットのそれより低いことに憤っておられるようですが,あちらの方がなるのが大変ですので,「こんな給与水準の低い勤務医など辞めてやる!明日から,キー局の正社員か又はパイロットになるんだ!」みたいなことをいってもそれは難しいように思います。)。

 また,novtanさんは頭数の問題なのに給料の問題に転化してしまってないですかね。とも仰っているのですが,頭数を確保するためには一人あたりの配分額は抑制しなければいけないのだということを,中学生程度の算数ができる人にはわかりやすく書いたつもりなのですが,理解していただけなかったことは残念です。公立病院などで,全ての医師が週40時間労働で済むような人員配置を,同水準の開業医の現在の所得水準と同等か又はそれ以上の給与水準の下で行う余裕があれば,給料の問題を考えずに頭数の問題を考えることが出来るのかもしれませんが,そんな余裕など現実にはどこの自治体にもありません(橋本知事を支持されるような方は,私学助成を撤廃して,公立高校の入試に失敗した中低所得者層の子供達には自己責任として中学卒で働いてもらえば,財源が確保できるではないかと仰られるかもしれませんが,それはそれで大阪以外では非現実的な話です。)。現在の勤務医の平均年収(1400万円)を維持した状態で週40時間労働の厳守というのも財政的に無理でしょう(既に,一般の賃金労働者の3人分,大卒・院卒男子の賃金労働者の2人分の所得水準なのですから)。したがって,勤務医の望みが真に労働時間の短縮にあるのであれば,給与水準の引き下げは受け入れざるを得ないように思います。

« 全国教育問題協議会の統計処理能力 | Accueil | どんだけ衆愚だよ »

Commentaires

L'utilisation des commentaires est désactivée pour cette note.

TrackBack

» [雑記][医療]小倉先生、それはインセンティブの向きが逆なんです [novtan別館]
少しばかり話の糸口がつかめたので続けることにします。 勤務医が不足することによる「医療崩壊」を防ぐために,「医師をもっと厚遇せよ,医師に特権を与えよ」という医療側の一連の議論は,上記「医療崩壊」を防止するためには,「勤務医→開業医」の流れを食い止め,逆に... [Lire la suite]

« 全国教育問題協議会の統計処理能力 | Accueil | どんだけ衆愚だよ »

octobre 2017
dim. lun. mar. mer. jeu. ven. sam.
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31