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27/12/2008

未だ持たざるものは留保できない。

 RAMさんという方が国籍法改正試案をアップロードされていますので、検討してみることとしましょう。

 まず、

(出生による国籍の取得) 第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
 一 出生の時に父及び母が日本国民であるとき。
 二 出生の時に母が日本国民であり、
   出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
 三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、
   又は国籍を有しないとき。
とされているところが目を引きます。

 この案ですと、

  1.  国際結婚の夫婦の子全般(但し、日本で出生し、かつ、父又は母の母国が父母両系主義を採用せず、血との母国が父系主義を採用していない場合を除く。)
  2.  出生地主義を採用している国で出生した非嫡出子(但し、母が日本国民であって、かつ、日本国民である父が出生前に認知した場合を除く。)
がごっそり出生による国籍取得ができないということになります。日本国内で出生した日本人男女間の非嫡出子については、かろうじて「日本で生まれた場合において……国籍を有しないとき」で救われることになるのでしょうが、それも気持ちの良くない話です。

 この試案では、出生により国籍を取得できない場合に、「裁判所の裁可によって、日本の国籍を取得することができる。」としています。なぜ現行法でほぼ使用されていない「裁可」という言葉を使ったのか理解できませんが(「裁可」とは一般に「裁決し、許可すること。特に、君主が臣下の奏上する案を自ら裁決し許可すること」(大辞林)をいいます。)、国際結婚の夫婦の子全般の国籍取得の審査を押しつけられるだけで裁判所は一杯一杯になってしまいそうな気がします。日本において出生した子のうち、父又は母の一方が日本国民であるものの数は、概ね年間3万〜3万5000人の範囲で推移しています。また、両親のうち少なくともいずれかが日本国籍を有する子であって日本国外で出生したものが年間1万4000人前後います。年間3万5000人程度の国籍取得申請についての「裁可」を裁判官に行わせるとして、そのために裁判官を何人確保しておけばよいのでしょう。

 また現行法では、国籍取得申請者が外国に住所を有するときはその国に駐在する領事官(領事官の職務を行う大使館若しくは公使館の長又はその事務を代理する者を含む。以下同じ。)を経由して申請を行えば済むのですが(国籍法施行規則第1条)、RAMさんの試案では、外国在住者が日本国籍取得の「裁可」を求める場合、どこのどの裁判所に申請を行えばよいのでしょうか。また、その審理のために一々帰国して係属裁判所に出廷することを求めるというのも、非現実的かと思います。

 また、この試案では、

第五条 第三条に該当する子で、第四条の各項に該当しない子の国籍取得については、裁判所は個々の事情を調査し、裁可の判断をしなければならない。
とされていますが、裁可するか否かの判断基準を示さずに、ただ「個々の事情を調査して裁可の判断をせよ」といわれても裁判所だって困ってしまうことでしょう。また、裁判所が「裁可の判断」の基礎となる資料をどのようにして調査するのだということも問題となりそうです。

 さらに、

2 この場合において、外国籍を取得している子は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、日本国籍の取得は認められない。
ともされているのですが、日本国籍を未だ取得していない段階で「日本の国籍を留保する旨を届け出る」って論理的におかしいように思われます。現行国籍法12条を参考にされたのかもしれませんが、こちらは、名宛人が、「出生により外国の国籍を取得した日本国民」となっており、留保する国籍をすでに留保している者にのみ留保を要求しています。。

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Commentaires

TBを付けていただきましたRAMです。
「未だ持たざるものは留保できない。」と言う部分に関しては、私自身も悩んだ部分であり、考慮の必要はあるかと思いますが、その前部分で、第5条を引用されるのなら、何故、第4条を抜かされるのでしょうか?そこに該当しない者のみ、と言う第5条要件でしょう?さらに、「そのために裁判官を何人確保しておけばよいのでしょう。」と言う部分も含めて、あなたの論の張り方は、実はほとんど揉めないケースばかりなのに、それがいかにも数万あるように誘導されていませんか?あなたご自身が、第8条について書かれた事とも、このエントリの主張が矛盾していますよね。法務大臣に申請するより裁判の方がよいと、書かれていたはずです。
他人の主張に批判だけするのは、簡単です。
それも、案の前文を書いてある私のブログでやりとりするのでなく、一部を恣意的に引用すれば、なんとでも言えるでしょう。
で、結局、何が言いたいのですか?

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