市井人に知られても構わない
「Retriever Legend's blog」というブログの「直接行動 その2」というエントリーは,
厚生労働省高級官僚の殺傷事件は、市井人に知られたくない国籍法改正案の議決に向けて絶妙なタイミングで起きた(起された)と、見ることができます。
という書き出しから始まります。
しかし,最高裁の大法廷での違憲判決を受けての今回の国籍法改正は「市井人に知られたくない」という類のものではありません。
実際,普通に法制審議会に通されている(その結果はウェブ上で公開されている)わけですし,この法案が閣議決定された旨の報道も,産経新聞以外の報道機関によってもなされています(例えば,朝日新聞の記事)。ただ,一般紙の場合,ゼノフォビアに基づく陰謀論までは一々報道しないというだけの話です。
また,このエントリーでは,
ネット上では、東南アジアでは今回の改正を見込んで、子供の斡旋ブローカーが蠢いている(子供1人120万円)等が散見されます。
「偽装認知」で、大量の子供が陵辱、性搾取の「商品」として輸入されます。
とあるのですが,ネット上のデマをあっさり真実だと思いこんでいる時点で,思慮が足りないように思います。売春目的の人身売買を行うような人々は,今回の国籍法改正など最初から眼中にありません。といいますか,その種の人身売買は,現行国籍法の下ですでに行われている話です。
従って,仮にそのような人身売買を防止したいということを本心から願っていたとしても,その実現方法として,日本国籍を有する男性の非嫡出子として国籍を取得する際にその「男性」との生物的な父子関係の存在をDNA鑑定により証明することを要件とする(その結果,「父親」がDNA鑑定を頑として拒んでいる場合や,そもそも「父親」が生存していない場合には,日本国籍の取得を認めず,母親の本国へ一律に強制送還する)というのはいかにも迂遠かつ実効性に乏しいように思われます。むしろ,DNA鑑定を義務づけることにより余計に支出される公的資金を,売春宿の摘発の強化等に充てる方がより目的を達成できるのではないか,と普通に思ったりはします。
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