「政府の資金援助を必要とする人」だけでも全人口の1割を超える社会
bobbyさんの香港に関する発言は、オリジナリティに溢れています。
ですから東京やニューヨークと違い、路上生活者はほとんどいません。特筆すべき貧民街もありません。
とのことですが、東アジアホームレス支援施策調査チーム「ソウル・香港・台北におけるホームレス支援の現状(上)」によれば、2004年段階での香港における野宿生活者の数は407人ということで、人口比ではソウルよりも多いといえます(なお、以前紹介した「カゴの中にする人」は野宿生活者ではないことになっています。)。また、特筆すべき貧民街としては「九龍城砦」があったのであり、単に強引にこれを取り壊したというだけで、解雇規制がないおかげでスラム街が発生しなかったというわけではありません。
金持ちになる夢破れ高齢で貯蓄も無い貧困層の人達の為に、政府の貧困者用住宅があります
といわれても、この生活では厳しいですね(こういう生活を余儀なくされている人々も、統計上「就業者」に含まれ、香港の失業率を低下させるのに貢献しているとは思うのですが。)。
また、香港で月収6万4千円(*1)に満たない低収入の人が42万人(人口の6%)いるとこちらの記事で述べられているが、残りの654万人(94%)は普通かそれ以上の暮らしをしているという事ですね。
とも仰っていますが、香港で月収6万4千円を超えたら即「普通かそれ以上の暮らしをしている」ということにはならないのではないかと思います。この記事によれば、 中国香港の九龍の繁華街を歩いていると、地下道などで物乞いをする人をよく見かけ、貧困問題の深刻さを感じる。ある統計によると、2003年から貧困人工は継続して減少傾向にあるものの、依然として政府の資金援助を必要とする人貧困者は73万人、さらに援助は必要としないが低所得者の貧困者は22万人の合計95万人に達する。その内、月収5000香港ドル以下の貧困者は19万人にもなるという。
とのことであり、「政府の資金援助を必要とする人」だけでも全人口の1割を超えているということになります。
また、香港のジニ係数0.52と高いのは、約94%の中産層が、活発な経済でマンションなどを所有するなど富を増しているからのようです。
とも仰られているようですが、ジニ係数は所得分布をもとに算出される係数なので、中産階級がマンション等の資産を有しているかどうかで左右されるものではないように思われます。
また、マンション購入について。30代前後で4000万円(*1)のマンション購入について誤解を与えたようですが、富裕層の事ではありません。大卒でオフィス勤めの月給20万円(*1、*2)くらいの普通のサラリーマン夫婦が、銀行ローンで購入しています。香港のオフィス勤めサラリーマンの給料は男女格差があまり無く、ほぼ夫婦共働きで、更にアルバイトや株式投資など昼間の仕事以外の収入を持っている人も多いので、世帯収入が大きく、このようなマンションをローンで購入できるのです。
とも仰っていますが、4000万円のマンションを年利6%程度の住宅ローンを借りて購入した場合、ローン期間30年として、月々の返済額は概ね24万円程度になるのではないでしょうか。その間、不動産価格が上昇するという確信のもと本人の支払い能力を無視して住宅ローンの貸し付けを行うというのでは、まるで米国のサブプライムローンのようになってしまいます。
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Voici les sites qui parlent de: 「政府の資金援助を必要とする人」だけでも全人口の1割を超える社会:
» 低所得者対策は政府の責任 [Mutteraway]
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