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06/01/2009

解雇に伴う寮からの即時退去要求と負の広告効果

 昨今の非正規雇用労働者の解雇問題で一つ不思議だったのは、なぜ、寮からの即時退去要求まで併せてやってしまったのかということです。自己都合退職や懲戒解雇と異なり、経営不振に伴う整理解雇の場合、退職した労働者の補充は当面行わないのですから、退職者をそんなにせき立てて寮から追い出す必要はなかったはずです。他方、突然の解雇に加えて寮からの立ち退きを迫られた労働者が移転先を見つけることは一般に困難であり、特に雇用環境が悪化している不況期には、その多くがホームレス化する危険を有しています。そして、これまで会社のために働いてきた労働者を突然解雇したのみならず、即座に寮からも追い出し、ホームレス化させたとの事実は、その会社の無慈悲感を強烈に印象づけます。そのことがマスメディア等で報じられた場合の負の広告効果が如何ばかりのものか、想像するだに恐ろしいといえます。

 もともと期間の定めのない建物賃貸借契約の解約申入期間は3カ月(617条1項2号)ですから、解雇通知を出してから3ヶ月間は寮を継続して使用することを認めても会社に対して不当に損害を与えたということにはなりませんし、どのみち新規入寮者が当面現れないのであれば、短期賃貸借契約でも結んで安価に賃貸借を継続しておけば、大量解雇による社会的評価の低下を少しでも抑えることができたのに、と思ったりはします。既に解雇した従業員との関係では近隣相場との差額を福利厚生費として計上することはできないので、宣伝広告費等ということして税務署にねじ込むことができなければ、税金面での負担が大きくなるということはあるかもしれませんが、企業イメージの向上のために様々なイベントやテレビ番組等にスポンサー料を支払うことを考えたら、どちらがお得かよく考えた方が良かったのではないかという気がします。

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