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21/01/2009

文化も伝統も、進歩とともに更新されていく

 さあ、オバマ大統領の就任演説がまもなく始まります。米国では、黒人は19世紀中盤までは奴隷だったのであり、また、全ての州で黒人に選挙権が認められるようになったのは1965年のことです。しかし、米国社会は、ついにここまで進歩したということです。公民権運動から約半世紀が経過した現在の米国で、「我々は、人種を問わず、等しく人間として尊重され、等しく成功の機会を与えられるのが、米国の文化であり、伝統だ」という言葉が飛び出しても、それほど違和感を感じません。社会がリベラルに進歩していくとき、新たに獲得された文化・社会構造は、程なくして伝統と認識されるのです。

 これに対し、「19世紀前半には黒人はみんな『奴隷』だった」と言って、人種故に侮辱されても、成功の機会を奪われても、「物」としてぞんざいに扱われても、そんなことは甘受せよ、みたいなことを言ってみても、今更通用しないというべきでしょう。

 池田信夫先生が「19世紀には労働者はみんな「派遣」だった」というエントリーをアップロードされています。しかし、概ね先進国では、労働者保護の一環として中間搾取の排除を志向する法制度を設けており、また、雇用者による恣意的な解雇を禁止する法制度を設けています。いまさら、19世紀型の雇用制度に戻せといってみても始まりません。「経営者に少しでも逆らったら即時解雇され、その日の内に路頭に迷い、程なくして餓死することになるので、生命を維持するのに必要な最小限の給与がもらえるのであれば、それで満足しなければならない」仕組みに戻せといっても仕方がありません。両親がもらい受ける給料では家族が食べていくことができないので、子供たちが10歳にならないうちに学校をやめて低賃金労働に従事し、女の子は10代後半になったら売春婦に身を落として糊口をしのぐ社会構造に戻せといってみても始まりません。歴史的にはそういうことが普通に行われていた時期があったとしても、21世紀に暮らしている私たちは、一般の労働者が、10歳にならない子供たちに低賃金労働をさせなくとも済み、生きていくために10代半ばになった娘を売春宿に売る必要もなく、経営者からその人格を踏みにじる行為をされたときには解雇される心配をせずにこれに抗議をし法的権利を行使することができる、そういうことを、私たちの社会の文化であり伝統であるといっても差し支えないのではないかと思うのです。

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