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23/01/2009

「雇用の流動化」の実例である香港について見てみた

 bobbyさんから、トラックバックをいただきました。

世の中、なぜにかくも短絡的な思考の方が多いのでしょうか。経済学者の池田氏が雇用の流動化を促進する制度が必要(ここ)だと説いているのに対して、弁護士の小倉氏は「雇用の流動化=失業と貧困」説(ここ)からいまだに抜け出せません。小倉氏はぜひ、「雇用の流動化=経済活性=繁栄」の実例である香港を一度ぜひご覧いただきたいものです。

 ということで、香港についてみていきたいと思います。

 まず、目を引くのはジニ係数の高さです。ジニ係数は、1に近いほど貧富の差が大きく、0.4を超えた場合は何らかの改善策が必要とされているわけですが、これなどによれば、2006年の段階で香港のジニ係数は0.533とのことです。これは、アジア諸国の中でもダントツの一位であり、解雇規制がないと貧富の差が広がっていくことを如実に示しています。

 また、2007年6月にアップロードされたこのエントリーによれば、

しかし格差社会の影響はこうした低所得層の見限らない、自由時報によれば、97年で中流階級の平均月収は2246ドルだったが、昨年では2214ドルに減少している。また大卒の平均初月収は1865ドルから1418ドルに減少し、その減少幅は24%になっている。
 このように香港の好景気の利益を享受しているのは、高所得者に限られ、香港の格差社会はむしろ拡大していることを示している。

とのことであり、「解雇規制がない」という状況は、若年労働者の待遇改善に繋がらないということを、香港の実例は示しているようです。

 bobbyさんによれば、香港では、雇用の流動性は極めて高いのですが、平均的な所得水準は高く、貧民街もなく、街には高級車が溢れており、30代前後で4000万円くらいのマンションをローンで購入する若者はとても多いのです。とのことなのですが、この記事によれば、高級住宅や高級車、億万長者を生む金融ハブといったイメージの一方、香港には1カ月5000香港ドル(約6万8000円)以下で暮らす低所得労働者が推定42万人いる。とのことであり、好況であった2007年の段階ですら、香港市内には依然小さなケージの中で暮らす人々が多数おったようです。香港の人口は約700万人ですから、約18人に一人がそのような生活を余儀なくされているということです。

 確かに、貧富の大きな社会では、富裕層の若者は、30代前後で4000万円くらいのマンションを購入したり、高級車を乗り回したりできます。実は階級格差が大きく、それが世襲的に承継される日本でも、富裕層のご子息たちは、20代から高級車を乗り回すことが珍しくありません。bobbyさんとか新自由主義が好きな方は、そういう若者が我が世の春を謳歌する反面、末端労働者が路上やカゴの中で寝泊まりする社会が望ましいと考えておられるのでしょう。

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