日本のジニ係数は、mid-2000でも上昇している。
池田先生は、日本の所得格差(ジニ係数)は図のようにOECD諸国の平均よりやや高い程度で、最近は低下している。
とおっしゃっているようですが、厚労省の所得再配分調査によれば、2005年調査分のジニ係数は再分配前で0.5263、再分配後で0.3873であって、いずれも2000年調査より上昇しています。
非正規労働の範囲拡大で若年労働者を中心に給与水準が低下した反面、株式配当率が上昇した(中高年正規労働者の所得がその分上昇したわけではありません。)わけですから、所得再分配前の不平等が大幅に拡大するのは避けられないことです。そのあたりの事実から目を背けてみても仕方がないように思います。
そのことを肯定的に捉えるか否かは人によって違いがあるとは思います。純粋に経済学的見地から見れば、生存に必要なだけの所得を得られない人が(餓死するなり自殺するなりして)市場において淘汰されることは資源の最適分配をもたらすということになるのでしょうし、貧困家庭において生き延びるために娘を売春宿に売り飛ばすことは「性的魅力」という比較優位性を市場に投入することであって経済学的には好ましく、実際19世紀以前の日本の伝統に沿っているということにもなるのでしょうし。私は、経済学的に正しければ、人道的な観点など捨象しても良いとは考えませんが。
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