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09/02/2009

「過去数年の好況時、得られた利益はすべて労組側にベアとしてもっていかれ」ただって!!

 城繁幸さんという方が不思議なことを書いています。

 

だが、これは社会にとって、きわめて不穏当な副産物をもたらしつつある。というのも、正社員側の既得権にはいっさいメスを入れぬまま、調整コストをすべて後者に負わせるため、両者の経済的格差は決定的となる。過去数年の好況時、得られた利益はすべて労組側にベアとしてもっていかれ、現在のような不況時には真っ先に首を切られるという具合だ。2007年に2兆円を超す営業利益を上げつつも人件費の拡大を抑制し、現在大量の期間工をリストラしつつあるトヨタは、新型日本的経営の模範例といえるだろう。

 「過去数年の好況:というと2002年2月から2007年10月の俗称「いざなみ景気」を指すのでしょうが、この間「得られた利益はすべて労組側にベアとしてもっていかれ」た等という話は聞いたことがありません。むしろ、2000年から2007年にかけて国内総生産は約12兆円増加したものの、配当金が約9兆円増加、内部留保が約9兆円増加、役員報酬は2000年の8000億円から2005年の1兆5000億円にほぼ倍増しています(その後会計基準が変わったとの理由で2007年度分の役員報酬額を公表していません。)。そして、この間ベア分の上昇が行われたのはごく一部の企業に限られ、それもそれほど大きな額ではありません。この間、正規雇用労働者は、労働時間の長時間化という負担を背負い込んでいるのに、です。

 城さんは、さらにこう続けます。

 2つ目の道は、正社員の既得権にメスを入れ、正規と非正規の同一労働同一賃金を実現、利益もリスクも両者で分かち合う道だ。人材市場の流動化をめざす労働ビッグバンがまさにこの道に当たる。この場合、年齢という軸は消えてなくなるため、フリーターも中高年も弾かれる理由はなくなり、真の再チャレンジが可能となる。
 イメージとしては、年俸制に基づいて柔軟に処遇可能なプロ野球選手が近い。大金を支払われるルーキーがいる一方で、戦力外とされたベテランにも機会が与えられ再生可能な仕組みだ。年功序列のままなら、高コストのベテランにチャンスが与えられることはない。

 「人材市場の流動化をめざす労働ビッグバン」を一般企業に導入したとして、ルーキーに大金が支払われる可能性があると城さんは本気で思っているのでしょうかね。プロ野球選手の場合、労働者の個々の能力の違いが業務に非常な影響を及ぼすのであって、労働者間の代替性が非常に低いため、「給料の高いベテランを解雇して給料の安い新人に置き換えるのがベスト」ということには必ずしもならないわけですが、組織の中で決められたことを着実にこなすことを求められる一般労働者の場合、労働者の個々の能力の違いはさほど注目されないので、人材の代替性は非常に高いということができます。すると、経営者としては、「人材市場の流動化をめざす労働ビッグバン」が実施された場合は、「コスト的に最安値のピチピチ」の新人時代から、せいぜい「パフォーマンスがコストを大幅に上回る30代前半」くらいの間だけその労働者を雇用し、その期間が過ぎたらあっさり「ポイ捨て」して、また新たな「コスト的に最安値のピチピチ」の新人を雇用するのが合理的だということになります。いずれにせよ、ロスジェネ世代のフリーターたちの出る幕はありません。その場合、「ピチピチ」の期間だけ雇えばよいということになると、経営者の趣味に沿って若い女性労働者が多く雇用されるということはあるかもしれませんが、「ピチピチ」の期間が経過したら「ポイ捨て」されて、若い子と交代させられてしまうというのでは、男女平等もなにもあったものではありません。

 雇用規制が撤廃されれば、「ワーキングプア、男女賃金格差等、現状の格差」等を解決できるなどといっているのは、「経営者たちは善意の固まりなのだが、正社員があるいは労働組合が、ロスジェネ世代を、女子労働者を、高齢労働者を、好条件で雇うことを妨害しているのだ」という「君側の奸」幻想に基づくわけですが、いい加減そういうまやかしはやめにしたらよいと思うのです。

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