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22/02/2009

人命と企業利益とどちらをより重視するかの差

 新自由主義って,人命に特段の価値を見出しません。ですから,人命を守るために企業活動の自由を制約するというのは,新自由主義者から見ると好ましくないということになります。そういう意味では,池田信夫先生が建築基準法改正を目の敵にするというのは想像の範囲内といえるでしょう。建築基準法を正しく理解していないから建築基準法に不満があるというより(まあ,正しく理解していないことも事実ですが,池田先生に法律を正しく理解することを望む方が無理というものですし。),そもそもたかだか人命のために企業活動が制約されるということが池田先生には許せないのだと思います。「人命と,建築業界の収益とどちらが大切なんだ」と問われて,法律家は人命だと答え,経済学者は建築業界の収益だと答える。だから,法律家が,経済学者のお眼鏡にかなうことってないと思います。

 建築物に限らず,大方の商品は,消費者や第三者の生命・身体の安全に配慮しなくとも良いということになれば,企業はより生産コストを引き下げることができます。そして,消費者は商品を購入するにあたってその安全性は考慮に入れないとの前提に立った場合には,企業は,なるべく安全性を犠牲にして製造コストを引き下げることこそが利潤の極大化に繋がるということになります。建築基準法の改正により「官製不況」が生じた云々と述べている人はこのレベルです。

 基準が形式的であることをも問題視されているようにも思うのですが,人命を守るための行為規制としては,想定される危険に対して人命を守るためには概ねどのような措置を講じておくことが必要なのかを抽出した上で,それを抽象的な基準として書き出してこれを形式的にクリアすることを義務づけ,またはその基準を完全には抽象化しきれないときは専門家による事前審査をクリアすることを義務づけるという形式をとるのは,極めて一般的な話であって,日本において特徴的というお話ではありません(諸外国の建築規制についてはこちらを参照)。

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