国民の期待に応えたルールを作るのは国会の役割であって,検察の役割ではない。
矢部善朗・創価大学法科大学院教授(刑事法)が次のように述べています。
既に書いていますが、小倉弁護士の解釈(というか単なる主張)に従えば、政治資金規正法が禁止する企業献金がやりたい放題になるわけですが、国民はそのようなことを支持するのでしょうか?
国民がそれを支持するか否かに関わらず,それを行った場合に特定の刑罰を科すことが法律により明確に定められている行為を行った者に対してのみ刑事罰を科すのが,わが国も採用しているはずの罪刑法定主義の基本です。こと刑事罰に関していえば,「抜け道」を塞ぐのは「立法府」の仕事であり,裁判所や検察が「抜け道」をアドホック的に塞ぐことは基本的にあってはいけないことです。
実質的に企業Cが政治資金団体Aに寄付するのと実質的に変わらないとして,企業Cが団体Bに寄付をし,団体Bが国会議員の政治資金団体Aに寄付することを禁止することを多くの国民が支持しているのであれば,例えば,企業から政治献金を受けている団体から国会議員の政治資金団体が寄付を受けることを政治資金規正法違反とするような新規立法することによりこれに応えるのが筋なのです。そのような新規立法もないのに,企業Cから寄付を受けている団体Bからその情を知って政治献金を受け付けた政治団体Aの会計責任者を,収支報告書に寄付者をCではなくBと記載したのは虚偽記載だと難癖を付けて逮捕することにより応えようとするのは,「罪刑法定主義」という基本原則を重視する立場からいえば,邪道というより他ありません。
「こんなことをやりたい放題とすることを,国民は支持するのでしょうか?」との一言で刑罰法規が際限なく拡張的に適用され,政権政党に批判的な人物が逮捕され,刑事罰が科される──私はそういう社会は望ましくないと考える者です。
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