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11/04/2009

刑務所から手紙を出して証拠を消す蓋然性と不適正な取り調べで虚偽自白が引き出される蓋然性

 産経新聞の報道によれば,舞鶴女子高生殺害事件に関して,弁護人が京都府警に取り調べの可視化(全過程の録画・録音)を求める申入書を提出したのに対して,

府警は「適正な捜査をしており、可視化の必要はない」と主張。京都地検も「準抗告が出るのは想定の範囲内。今まで通り、自白した場合の録音・録画は行うが、全過程は考えていない」とし、「可視化の申し入れははやっているので、そういう戦略の一つだろう」と弁護人の動きを牽制するとともに、「刑務所から手紙を出して(証拠を)消すこともできるし、勾留請求でその辺りは盛り込んでいる」と反論した

 今後も「適正な捜査」をするかどうか疑わしいので可視化が求められているのに「適正な捜査をしており、可視化の必要はない」という反論は的を外しているとしかいいようがありません。そのような弁解が認められるのであれば,「これまでこの件に関してありのままの事実を語ってきましたので,これ以上の取り調べは必要ありません」という被疑者側の弁解も認めて,即刻取り調べを中止すべきではないかと思います。そうではなくて,あとでその状況が裁判官に知れたら任意性が飛ぶような取り調べを予定しているからこそ,可視化せよという要求は受け入れられないということなのでしょう。

 京都地検のコメントも,ばかばかしいの一言に尽きます。自白の任意性が争われるときにもっとも焦点となるのは,当初犯行を否認していた被疑者が自白に転ずる過程でどのようなことが行われたのかという点にあるのですから,自白に転じた後のみ録音・録画を行ってみてもたいした意味はありません。まあ,地検自身,警察による捜査が,とりわけ否認している被疑者を自白に追い込む過程では,適正に行われているとは信じていないので,このような回答になるのでしょう。

 「刑務所から手紙を出して(証拠を)消すこともできる」たって,あれだけ家宅捜索を行って,なおも刑務所からの手紙を受け取った人が隠滅できるようなところに証拠が残っている蓋然性がそんなにあるようには思われません。誰がどう見たってそんなことを気にして勾留請求をしているわけではなくて,府警が裁判官にはお見せできないような方法で取り調べを行って被疑者を自白に追い込んでくれることに期待していることが見え見えではないかと思われてなりません。

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