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04/05/2009

法科大学院は自動車メーカーと一緒?

 New York大学ロースクールのRichard Matasar学長が,あるパネルディスカッションの際に聴衆から,

You're producing a product that very few people want. Firms have hiring freezes. Why not stop producing the product—or create new markets for what you're producing? You're like the auto manufacturers who produce a product for which there is no demand.

(あなた方は,ごく少数の人しか求めていない製品をせっせと作っている。事務所は雇用を凍結させている。なぜ,製品の生産を中止しないのか──あるいはあなた方せっせと作っているもののための新たな市場を創造しないのか。あなた方は,需要のない製品を生産している自動車製造会社みたいだ)

問われたようです

 これに対しては,Matasar学長は,いくつかのロースクールは倒産するだろうし,残ったところも学費を下げざるを得ないだろうと答えるにとどめたようです。まあ,学費が下がれば採算ラインも下がるので,BIG LAW FIRMに就職することにこだわる必要がなくなり,New York大学のような一流のロースクールの場合は,卒業生の就職活動の幅が広くなる分,「新たな市場が創造」されると全く言い得ないわけではないですが,それって,上の下くらいのロースクールの卒業生の就職先をはじき飛ばすだけに終わるのではと心配になってしまいます。

 しかし,「ロースクールは学生を搾取している」ことを真っ向から認めている分,日本の法科大学院の偉い人よりはましかもしれません。日本の経営側弁護士の数を考慮すれば,勤務弁護士の需要は当面はせいぜい1000人くらいしかないのだから,任官者,任検者がいることを考慮しても新司法試験合格者を1200人程度にとどめるか,それを超える部分の市場の開拓を(法科大学院から高額の授業料を徴収している)法科大学院側で開拓すべきなのに,日本の法科大学院は,そのあたりのことに全く無頓着です。

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