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06/05/2009

日本の中国化を目指す人々

 池田さんが次のようなことを述べています。

複数均衡の状態で均衡選択を行なうことが政府の本質的な役割であり、もっとも大きな物語の創作能力をもつのも政府である。したがって厚労省が政策を転換して1の均衡を選ぶと宣言し、解雇規制や派遣労働の規制を撤廃するだけで、非正社員の問題は大きく改善する可能性がある。この政策には何のコストもかからないが、おそらく15兆円の補正予算より潜在成長率を引き上げる効果は大きいだろう。

 「効率賃金仮説」の説明が一般のものと異なるようですが,経済学用語の理解が一般と異なるというのは池田さんにおいてはしばしば見られることなのでそのことはひとまず措くとして,「企業側としてもメリットがあるから長期雇用をしているのだ」ということであるならば,解雇規制を撤廃したからといって,長期雇用した正社員を次々に解雇して,より賃金水準の低い非正社員に置き換えるということはしないということになります。もし,池田さんのいう,2から1への均衡への移行を国策的に果たすには,解雇規制や派遣労働の規制を撤廃するだけでは足りず,むしろ長期雇用を禁止し,企業経営者には常により安い賃金での労務の提供を申し出る者に雇用を切り替える義務を負わせる必要が生じてきそうです。

 そこでは,長期雇用によって企業が得ていた様々なメリットがなくなるわけですから,企業活動にも支障が出る可能性が十分にあります。すなわち,池田さんの提言に乗ってしまうと,国内需要自体が大幅に落ち込むことになる上,企業活動の効率すら落ちてしまうわけです。長期雇用が禁止されるわけですから,新たに雇った従業員でもすぐに業務に取りかかることができるように,業務の極度のマニュアル化・単純化を進めることが必要となり,日本的なきめ細やかなサービスやよく配慮の行き届いた製品というのは,諦めざるを得ないということになります。賃金水準の低下により輸出における価格競争力が強化されるとはいっても,生産されるのは,技術・ノウハウの蓄積・継承抜きで,短期雇用労働者のみで生産が可能なものに限定されることになるので,むしろ純粋な価格のみで競争を強いられることになるように思われます。

 そういう意味では,池田さんが目指しているのは,現在の中国に近い,発展途上国型の産業構造なのかなあという気がします。

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