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28/06/2009

私はエスパーではない

 矢部善朗創価大学法科大学院教授は,「小倉秀夫弁護士のための誘導尋問講座」というエントリーを立ち上げておられました。そこでは,誘導尋問の定義として,

誘導尋問とは,特定の答えを期待して自由記述方式の質問を回避して押し付けないし暗示を用いる質問。

というウィグモアの定義や,

言語、音声、態度、形式等特殊な発問方法により相手方をして発問者の意図する事実を故意に供述させるような尋問方法

という広島高裁松江支部の定義を紹介されており,また,私が紹介した渡辺直樹弁護士の論考の更に一部を紹介した上で,

 つまり、以上の定義から明らかですが、誘導尋問の目的は、質問者の思惑通りの回答を得ることにあるのであり、回答を暗示するということはその典型的な方法ではありますが、別の方法もありますので、回答を暗示するということは、誘導尋問の本質的要素ではありません。

 そして、回答を誘導するための具体的な手段がYES・NOに代表される二者択一の質問形式であるわけです。(この点については誘導尋問は、回答範囲を限定する質問によって回答を誘導しようとするものである。を参照)

と述べています。ウィグモアの定義も,広島高裁松江支部の定義も,また渡辺直樹弁護士による解説も,「証人尋問における誘導尋問」に関するものであって,「議論における誘導尋問」に関するものではありません(議論をするにあたってどのような手法が用いられようが,それは法律が本来関与すべきものではありません。)。したがって,それらを参照した上で矢部教授が行った「回答を暗示するということは、誘導尋問の本質的要素ではありません。」等の説明は,「証人尋問における誘導尋問」に関するものだと読むのが通常です。

 矢部教授は,誘導尋問の目的は、質問者の思惑通りの回答を得ることにあるのであり、回答を暗示するということはその典型的な方法ではありますが、別の方法もありますので、回答を暗示するということは、誘導尋問の本質的要素ではありません。との結論を,以上の定義から明らかですと言っているのですから,ウィグモアの定義や,広島高裁松江支部の定義,渡辺弁護士の説明が前提としている,敵対的でない証人に対する主尋問における「誘導尋問」について,矢部教授は,回答を暗示するということは、誘導尋問の本質的要素ではありません。といっているものと読むのが通常です。

 ところが,「証人尋問における誘導尋問と議論における誘導尋問の違いが分からない小倉弁護士」というエントリーでは,

これに対し、小倉弁護士が引用しているCleveland弁護士の説明も渡辺直樹弁護士の説明も訴訟における証人尋問を前提にしている説明です。

 当然、事実を暗示することが誘導尋問の手段になります。

 この点において、私も全く同様の理解です。

と述べられています。「えっ!」という感じです。ウィグモアの定義や広島高裁松江支部の定義から明らかだと言い放った「誘導尋問」についての本質論は,「訴訟における証人尋問を前提」とするものではなかったのですか?

 誤読だ,曲解だ,捏造だとの人格攻撃を矢部教授から受け続けているのですが,ウィグモアの定義や広島高裁松江支部の定義から明らかだと言い放った「回答を暗示するということは、誘導尋問の本質的要素ではありません。」等の説明を訴訟における証人尋問を前提としたものではないと読めというのは不可能を強いるものであって,その文章が客観的にどのように通常読まれうるものであっても書き手の真意と異なる理解をした場合には誤読,曲解,捏造だ,恥の上塗りだといわれても,「困った人だなあ。ひょっとしたら,本当に,『証人尋問における誘導尋問』の理解を間違えていたのではないかなあ。でも,法科大学院で刑事法を担当する大学教授でそれって普通あり得ないよなあ」という感じにしかなりません。

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