最近の司法研修所では,「誘導尋問」の範囲が広がったのですか?
矢部教授が開設する匿名電子掲示板において,「ハスカップ」さんが次のように述べています。
おそらく「誘導尋問」の定義を小倉弁護士先生は知らないんでしょう(笑。
旧修習の前期や刑裁修習で習うはずですけどね。
誘導尋問とは,特定の答えを期待して自由記述方式の質問を回避して押し付けないし暗示を用いる質問。
例:被告人が到着したのは午後5時ですね。(被告人は何時に到着しましたか?)
例:全面可視化に賛成なのに民主党案に無条件に賛成しないのですか?
(全面可視化に反対ですか賛成ですか中間で条件付きですか?)
で,矢部教授が「質問者の意図がミエミエの姑息な誘導尋問ですね。」といって回答を避けている私の質問は,
野党の共同提案にかかる刑事訴訟法改正案には無条件で賛成されますか?
というものなので,これは「ハスカップ」さんの定義する「誘導尋問」にはあたらないといえます。それとも,最近の司法研修所では,「はい,いいえ」で答えるように求める質問は概ね「誘導尋問」にあたると教えているのでしょうか>ハスカップさん。
別に「『はい』か,『うん』としか答えるな」といっているわけではないので,「はい」と答えてもいいですし,「いいえ」と答えてもいいわけです。そして,「いいえ」と答えた場合には,「ここをこう直せば賛同できる」ということを理由として付することもできます。既に,野党の側が,おそらくは参議院法制局の助けを借りて,法律案という形に既にまとめているのですから,仮にも法科大学院教授である矢部氏がそのような答え方ができないとは考えがたいところです。
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小倉先生の読解力に従うと、「回答にそれなりの時間がかかる」と言うと回答を拒否したことになるのでしょうか?
私の質問に回答をいただいていないものがありますが、それは回答を拒否するということでしょうか?
Rédigé par: 矢部善朗 | 17/06/2009 13:42
誘導尋問か否かという点に関しては、発問者が求める答えを暗示してその方向に導いたか否かが重要です。「誘導」という言葉を無視した定義をされても、困ってしまいます。
ですから、「供述者の供述内容が曖昧な場合」に、「○○」という答えを求めて、「あなたがいおうとしていることは○○ですか」という尋問をすることは「誘導尋問」ということになります。
でも、矢部先生が「誘導尋問だ」ということで回答を拒否されている私の文章はそういうものではありません。
Rédigé par: 小倉秀夫 | 16/06/2009 15:39
小倉先生は、刑事訴訟規則を読んだことがないのですか?
(引用開始)
刑事訴訟規則第199条の3 第3項
3 主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。
一 証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だつて明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
二 訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。
三 証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
四 証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
五 証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
六 証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その供述した事項に関するとき。
七 その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。
(引用終わり)
あなたの言う「供述者の供述内容が曖昧な場合」というのは 3号5号6号あたりに該当するでしょうね。
法文をもう一度確認しましょうか。
「次の場合には、誘導尋問をすることができる。」
この文章は、原則的には禁止される誘導尋問だけど、例外的にしてもいい場合がある。」と読めます。
というかそれ以外の読み方が困難です。
この条文を、「次の場合は、誘導尋問とは言わない。」と読む法律家は、たぶん小倉先生だけだと思います。
Rédigé par: 矢部善朗 | 16/06/2009 14:54
「言語、音声、態度、形式等特殊な発問方法により」の部分を省略したらいけないのではないでしょうか。
「誘導尋問」というのは、発問者が想定する特定の内容を証言させようとするからこそ、一定の場合に問題視される(発問者に対し供述者が迎合的である事態が想定される場合(通常の主尋問等)には異議申立ての対象となったりする)のであって、供述者の供述内容が曖昧な場合に、どちらなのかをはっきりさせるために、「はい」か「いいえ」で答えることを求めることは、「誘導尋問」とは通常言いません(創価大学法科大学院ではどのように教えているのか分かりませんが。)。
Rédigé par: 小倉秀夫 | 16/06/2009 10:52
>野党の共同提案にかかる刑事訴訟法改正案には無条件で賛成されますか?
という無条件に賛成するかしないかと問う質問は、典型的な誘導尋問です。
>別に「『はい』か,『うん』としか答えるな」といっているわけではないので,「はい」と答えてもいいですし,「いいえ」と答えてもいいわけです。
まさか、これが小倉弁先生の質問が誘導尋問ではないという理由じゃないでしょうね。
誘導尋問ではないという理由として言っているなら、小倉弁護士は誘導尋問というものを全く理解していないことを意味しますよ。
誘導尋問とは
「言語、音声、態度、形式等特殊な発問方法により相手方をして発問者の意図する事実を故意に供述させるような尋問方法」(広島高裁松江支部判決昭和25年5月10日)。(ハスカップさんの紹介)
と言われていますが、形式等特殊な発問方法の典型としてイエス・ノーなどの二者択一的な答え方になる質問方法があげられます。あなたの質問方法のようにです。
この点に関してハスカップさんがより詳細な説明をしています。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/3910/1236552287/1599
>そして,「いいえ」と答えた場合には,「ここをこう直せば賛同できる」ということを理由として付することもできます。既に,野党の側が,おそらくは参議院法制局の助けを借りて,法律案という形に既にまとめているのですから,仮にも法科大学院教授である矢部氏がそのような答え方ができないとは考えがたいところです。
そのような答え方はできますよ。
ただし、それは私があなたの質問を誘導尋問であると見破った上で(法律家なら誰でも見破れますが)答えることができるというだけで、小倉先生の質問が誘導尋問でなくなるわけではありません。
誘導尋問というのは、回答の仕方の問題ではなく質問の仕方の問題です。
で、「野党の側が,おそらくは参議院法制局の助けを借りて,法律案という形に既にまとめているのですから,」誰でも即答できるとお考えですか?
しかも、いきなり改正案を示されて無条件で賛成できるかと問われれば、回答にそれなりの時間がかかるのは当然です。
ところで、小倉先生は、ご自身で改正案についての質問をされたのですから、小倉先生としてはすでに詳細な検討をされた上で質問されたものと思います。
小倉先生は、改正案に無条件に賛成されるのですか?
当然、即答できますよね。
以下は、ブログデザインに関するお願いですが、マウスオンで文字の大きさが変わるのはやめていただけませんかね。
ドラッグによる選択がやりにくくて仕方がありません。
Rédigé par: 矢部善朗 | 16/06/2009 09:23