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12/08/2009

相当性の立証がわずかに欠如しているのではなく、資料の読み方が飛躍しているのだ

 紀藤正樹弁護士が、法学セミナーの2009年7月号に「ネット書き込で名誉毀損は成立するか」という文章を載せています。

 これは例のグローバルビート事件に関する論考なので標題は大風呂敷を広げすぎだなあと思ったのですが、それはともかく、気になる記述があります。

本件表現は、相当性の立証がわずかに欠如し、結果として相当性立証が認められなかった事案であることである。すなわち、相当性の立証が全くできなかった根も葉もない事案ではなく、東京地裁判決も指摘しているとおり、「個人利用者に対して要求される調査を行った」という事案である。

と紀藤弁護士は仰っています。しかし、東京地裁ですら

とかいうような事実を推論するには少なからず飛躍があって,グローバル・ジャパンからなされ得る反論をも予測した場合,被告人の誤信に相当な理由があったことを通常人をして十分納得させるに足りる資料,根拠があったとまではみられないからである。
と判示しているのであって、「相当性の立証がわずかに欠如し」ている云々という話ではありません。

 さらに、紀藤弁護士は、

 筆者は、地裁と高裁の判決の違いは、憲法上、明示された人権である「表現の自由」への畏敬と尊重の念の違いだと考える。真実性の立証に最終的に失敗したならば必ず罰せられるとなると、表現の自由は過度に萎縮してしまうことになる。

と仰っているのですが、高裁も又、「真実性の立証に最終的に失敗したならば必ず罰せられる」などといっているわけではありません。摘示事実を真実だと信ずるに相当な理由のあることさえ立証できれば、摘示事実の真実性を立証できなくとも、無罪となるべきことを高裁は否定していません。

 インターネットの個人利用者の表現の自由はある程度尊重すべきものであるとはいえ、この事件で問題とされているのは、「貴方が『根岸』で食事をすると,飲食代の4~5%がカルト集団の収入になります。」だの「おいおい,まともな企業のふりしてんじゃねぇよ。この手の就職情報誌には,給料のサバ読みはよくあることですが,ここまで実態とかけ離れているのも珍しい。教祖が宗教法人のブローカーをやっていた右翼系カルト『A天軍』が母体だということも,FC店を開くときに,自宅を無理矢理担保に入れられるなんてことも,この広告には全く書かれず,『店が持てる,店長になれる』と調子のいいことばかり。」だのという一種の営業妨害的なものだったのですから、真実性を信ずるに相当の事由すらないのであれば、そのような発言が自粛されてしかるべきなのではないかという気がします。

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