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28/09/2009

「一段階論理の不正義」は結局正義にはならない

 最低賃金を引き上げることは中小企業の倒産に繋がるから許せないが、中小企業元本返済猶予法を制定して中小企業の倒産を防止することは許せないという「経済学者」がおられるようです。

 この種の「経済学者」にとって、中小企業を倒産させないという政策目標は、労働者がその賃金のみによって健康的で文化的な生活を行えるようにするという政策目標よりは優先されるけれども、空前の不況期においても銀行は中小企業から優先的に元金の返済を受けられるようにするという政策目標よりは劣後されるべきものだということなのでしょう。まさに、金貸しの都合が最優先で、労働者の幸せなど眼中にない、新自由主義者の「一段階論理の不正義」そのものです。

 「一段階論理の不正義」とはいいましたが、では、その種の論理は二段階以降は正義に転ずるのかというと、通常、そんなことはありません。中小企業元本猶予法など制定せず、空前の不況期においても銀行は中小企業から優先的に元金の返済を受けることができるということにしてみたところで、資金にゆとりのない中小企業は元金を支払うことができませんから、現実には銀行は中小企業からの元金返済を受けられないことになります。すると、銀行としては、元金返済を猶予するか、その中小企業を倒産に追い込むしかなくなってしまいます。もちろん、利息制限法や出資法を撤廃すれば中小企業は高利貸しから資金を借りて銀行への元金返済に充てられるはずだという考え方もあるかもしれませんが、銀行への弁済資金を高利貸しから借りるようになったら、結局その企業は早晩倒産です。

 そして、不況期に融資先の倒産件数を増やすことは銀行にとって別に得策ではありません。利益が少ない時に貸倒れをがんがん計上しても仕方がありませんし、不況期に担保不動産を競売に掛けてもその評価が下がっているので面白くも何ともありません。また、再び好況が訪れても、不況期につぶしてしまった会社からは元金の弁済等受けることはできません。そういう意味では、むしろ、元金の支払いを猶予する代わりに一定の「アメ」が与えられるのであれば、大不況期の暫定措置として、一定の要件を満たす中小企業の元本支払いの猶予を義務づけられることは、金融機関としては「渡りに舟」的な要素があるとすら言えます。

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