確かに道義的に言えば「詐欺」っぽいかも
法曹養成制度改革が失敗に終わったことは一般メディアでも広く報じられるところとなりました。まあ,単年度合格率が2〜3割程度に収斂していくこと,及び,その結果として必然的に相当数生ずることとなる受験資格喪失者の社会的な受け皿がないこと,需要を無視して水増しされた新規法曹資格取得者の相当数の社会的受け皿もないこと等は,最初からわかっていたことです。なのにどうしてこういう稚拙な制度改革が行われたのか,その過程で不当に利益を貪った者はいないか,民主党政権は十分に検証していただきたいところです。
なお,極端に司法試験合格率の低い法科大学院というのは,「従来の法曹養成制度の下においては前期修習終了時に身につけるべき法的な素養を身につけている」かを検証する新司法試験に合格するレベルに到底達していない学生を大量に卒業させているのであり,法科大学院に課せられた責務を十全に果たしていないということがいえます(今年に関して言えば,法務省は目標数値を大幅に下回る合格者しか出せなかったわけで,「定員が予め定められているために,「従来の法曹養成制度の下においては前期修習終了時に身につけるべき法的な素養を身につけている」ことが確かめられた受験者の一部を不合格とせざるを得なかったわけではないことがはっきりしています。)。
当初入学者の7割程度を新司法試験に合格させられないのは法科大学院の教育能力の欠如の現れと言えますが,卒業生の7割程度を新司法試験に合格させられないのは法科大学院の学位授与過程における怠慢を示すものということができます(青山学院大法科大学院の宮沢節生教授は「定員削減はまだ不十分。現状を放置すれば法曹志望者は今後も減り、特に未修者が遠ざかって、多様な法曹を養成できなくなってしまう」と指摘しているとのことですが,新司法試験合格率9%の青山学院大学法科大学院は,「従来の法曹養成制度の下においては前期修習終了時に身につけるべき法的な素養」を身につけていない学生に学位を授与しすぎでしょう。)。
もっとも,ごく一部の秀才のみが「学部4年+前期修習4カ月」で習得できるレベルを,より「幅広い人材」に「法科大学院3年」で習得させる教育手法などないことを知りながら,法科大学院3年で「従来の法曹養成制度の下においては前期修習終了時に身につけるべき法的な素養」を身につけさせることを前提とする法曹養成制度を推進した人々がいるとすれば,より積極的に,それは倫理的・政治的な意味において「詐欺」だということができるでしょう。未習者の司法試験合格率が低いことを問題視するのであれば,まず,未習者コースを用意している法科大学院は,如何にすれば,ごく一部の秀才のみが「学部4年+前期修習4カ月」で習得できるレベルを,より「幅広い人材」に「法科大学院3年」で習得させることができると考えていたのか,そこには教育学的な検討がなされていたのかをまず検証すべきでしょう。
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「la_causette」 の 「確かに道義的に言えば「詐欺」っぽいかも」
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